今回の「iPhoto」は、「金沢健一 振動態展」の制作パフォーマンスのドキュメントです。
先に藍画廊「金沢健一 振動態展」の案内をご覧いただければ幸いです。
このパフォーマンスは8月6日(火)の午後6時から行われました。
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円い鉄板に人造大理石の砂を撒く金沢さん。
砂は茶漉しでゴミをこしながら撒きます。
鉄板の端をスーパーボール(子供のオモチャの球)で擦(こす)り始めます。
(右側の壁際には大きさの異なるスーパーボールが幾つか置いてあります。)
同時に鉄板を擦る低い音が響き始めます。
ぼんやりと模様が出始めましたね。
星の集積のようです。
白い砂の集まる部分が鉄板の振動しない部分です。
(鉄板の下には振動を助けるために四箇所にバネが設置してあります。)
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擦り方を変えたりスーパーボールを変えたりして、模様に変化をつけていきます。
擦り方のリズムや強弱も模様に伝わります。
一度整ったカタチを、又変えていきます。
音(音響)は画廊内に休むことなく響き続いています。
低かったり、高かったり、シンクロしたり、模様と同じように変幻自在に変わります。
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擦る場所も変えて模様を操る金沢さん。
いつの間にか模様がすっかり変わり、同心円のようなカタチが見えてきました。
この間10分弱ぐらいだったでしょうか。
このカタチで、金沢さんは鉄板に振動を与えるのを止めました。
同時に「音楽」も残響音を残して鳴り止み、静寂に引き継がれました。
音楽とシンクロした短編映画を観たような気分です。
黒い鉄板がスクリーンで、白い砂は光の乱舞。
金沢さんは演出者で演奏家。
順序でいうと、上の作品に先立ち各種マテリアルを使ったパフォーマンスが行われています。
こちらも観てみましょう。
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さらの(砂の撒いてない)鉄板をスーパーボールで擦り、その振動を鉄線を介して違う鉄板に伝える金沢さん。
振動した鉄板の上に鉄線を置くと、振動が伝わって鉄線も音を発します。
鉄線から伝わった振動で正方形の鉄板も音を奏で始めました。
正方形の鉄板の上で、いろいろな鉄材を重ね合わせて和音や不協和音と作る金沢さん。
上の砂の作品に比べると大きなスーパーボールが使われていますね。
擦る場所を変えたり、強弱やリズムを変えて振動を楽しむ金沢さんです。
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紙を丸めて鉄板の上に立てれば、紙のダンスと音楽が誕生です。 振動は音であり、それの連鎖が次々に異なる振動を生み、異なる音を響かせます。 金沢さんは振動と音の伝導師であり、それを視覚化する呪術師かもしれません。 美術家が元来伝導師(伝道師)や呪術師であったのは偶然ではありません。 世界の原始と原子を衝突させ現実の向こう側を垣間見せてくれる彼らの仕事は、今は美術と名を変えて引き継がれているからです。 |
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