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福田昌湜展 -路上にて2-
ギャルリ イグレグ八が岳
FUKUDA Masakiyo
展覧会のお知らせです。
八が岳山麓の「ギャルリ イグレグ八が岳」で個展を開催いたします。
「ギャルリ イグレグ八が岳」は高原の別荘をリノベーションしたギャラリーです。
オーナーは佐藤友香さんで、縁あって展覧会を開くことになりました。
ギャラリーはA、B、Cの三室の展示室があり、それぞれ異なる自然光が特色です。
展示室の窓から見える緑は山麓ならではの景色で、目を楽しませてくれます。
それでは展示風景からご覧下さい。
各展示室の展示風景(部分)です。
メインの展示室であるA室の展示です。
A室の奥まった小さな壁面と正方形の展示室、B室の展示です。
自然光溢れるC室の展示です。
展示作品は26点で、撮影地は山梨県笛吹市、甲府市、東京都中央区、イタリア・ヴェネチアです。
デジタルカメラでの撮影で、ヴェネチアのみiPhoneです。
作品はすべてアーカイバルピグメントプリント(高品位インクジェットプリント)です。
ピックアップした展示作品をご覧下さい。
タイトル「路上にて2ーL3 」です。
「路上にて2ーL2 」です。
「路上にて2ーM6」です。
「路上にて2ーM8 」です。
「路上にて2ーS1」です。
オーナー佐藤さんの企画で、本展に合わせて記したショートテキスト(小文)五編を会場でお読みいただけます。
その中の「鏡とレンズ」を下に転載します。「鏡とレンズ」
このショートテキストは個展「路上にて2」に付随するものです。
それで、今回は写真に関係することを少し書いてみます。
わたしは何時の頃からか、鏡とレンズに興味を持ち、光を使った幻灯や映画にも魅せられました。
あれは中学生の頃だったでしょうか。
少年探偵団や明智小五郎、怪人二十面相で有名だった江戸川乱歩の小説を初めて読んだときのことです。
『屋根裏の散歩者』、一読して驚きました。
夜な夜な屋根裏で覗きを働く男の変態性が推理、トリック以上に印象に残ったのです。
江戸川乱歩に対するイメージが一変し、この作家の陰湿で猟奇な面に惹かれていきました。
しかし熱心な読者というわけでもなく、気が向くと読むという程度でしたが、『押絵と旅する男』と『鏡地獄』は愛読しました。
『押絵と旅する男』は関東大震災で倒壊した浅草十二階の頂上から、押絵と気付かずに娘を遠眼鏡で見つめた男の物語です。
結句、男は永遠の恋を選んで、押絵の中に入り込んでいきます。
『鏡地獄』は、鏡、レンズ、ガラスを偏愛する男が、奇癖が高じて球形の鏡の中で発狂してしまう話です。
いずれも幻視や倒錯した心理がテーマになっていますが、小説の底にはエロスあって、濃厚な味わいのある掌編です。写真は発明されると直ぐに競馬の写真判定(着順判定)に使われたそうです。
写し出す世界が客観で、科学的と判断されたからです。
他方で、鏡やレンズ(ガラス)を用いた魔術や占いの系譜に連なる映像も、少なからずありました。
わたしは、その二面性が写真の面白さだと思っています。
思えば江戸川乱歩とは、近代の都市を舞台に合理と幻想の間(はざま)を彷徨っていた作家だったのかもしれません。
鏡やレンズの映し出す映像が現実に侵食し、都市が変貌した時代に生きた人でした。
わたしの拙い写真には、どこかそんな時代の影があるような気がします。ご高覧よろしくお願い致します。
(なお、5日、6日、12日、14日は在廊予定です。)<日時>
2017年8月5日(土)〜28日(月)
開廊日 土・日・月
臨時休廊 8月19日・20日・21日
12:00-17:00
<会場>
山梨県北杜市高根町上黒沢1706-3
080-6531-3131
http://y-yatsu.com/index.html