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「iPhone's Photo(32)」


コンピューターがわたしの趣味になったのは、もうかれこれ10年ほど前からでしょうか。
ちょうどiGalleryという、このWebサイトを開設したころからです。
仕事でも多用しているので、趣味一辺倒ではありませんが、
コンピューターで何かを制作したり、ブラウズしたりするのは好きです。
いわゆる下手の横好きというやつです。
その中でも最も好きなのが、OSのインストール。
新しいOSに入れ替えると、住まいが変わったような、ファッションを変えたような新鮮な気分になります。



上の画像、ディスプレイに映ったMac OS X Snow Leopard(雪豹)のシンボルを撮影したものです。
OSの名前に猫科の動物名を付け続けてきたOS X ですが、今月の20日にSnow Leopardに替わるOSとしてLionがリリースされました。
ご存じかと思いますが、今回のアップデートはApp Storeからのダウンロード販売のみで、価格は2600円。
しかも同じApple IDであれば、台数制限なしでインストール可能。
今までの常識を覆した配布方式と価格設定です。

当日、待ちました。
20日発売と発表されたものの、何時からダウンロード可能かはアナウンスされていません。
適当に間隔を開けてWebで確認していると、20日の午後9時半ごろに発売開始のニュースが飛び込んできました。
App Storeを立ち上げると、確かにOS X Lionのアイコンが表示されています。
おもむろに購入をクリックすると、ダウンロードが始まりました。
しかし回線が混雑していて、なかなか前に進みません。
途中二度ほどエラーが出て、ダウンロードがストップ。
気長に待っていると、途中からスピードアップして、約40分ほどでダウンロードが完了。

そして今度はインストール。
これも30分弱で終了。
時間は予想外にかかりましたが、あっけないほど簡単にOS X Lionのインストールは終了しました。
(翌日仕事で使用しているMacにもインストールしましたが、ダウンロードは10分もかかりませんでした。)



起動してみての第一印象は、2600円という低価格とは大違いの、メジャーアップデートということです。
恐らくOS X リリース以来の変化が、このOS X Lionにはあります。
予想したとはいえ、最初に驚くのがスクロールの方向。
今までとは逆なのです。

なぜ逆になったかといえば、iPhoneやiPadの方式を取り入れたからです。
スクロールしたい方向にスクロールするのが、iPhoneやiPadのやり方。
それを踏襲したのがOS X Lionのスクロール。
これは慣れの問題で解決できると思いますが、会社と自宅でOSのバージョンが違っていたり、Windowsと併用の場合は戸惑うでしょうね。
喩えれば、右ハンドルのクルマと左ハンドルのクルマを併用して運転しているようなもので、ウインカーとワイパーを間違えること必至です。
一応システム環境設定で変更ができますが、今回からのスクロールが「ナチュラル」になっているのには笑えました。
今まではアンナチュラルだったんですね。



これはブログにも書いたことですが、OS X Lionのデフォルトのデバイスは、マウスではなくてトラックパッドだと思います。
つまり、マルチタッチジェスチャーが操作の基本になっているということです。
ちょっと使ってみると、そのことはすぐに分かります。
トラックパッドでなくても、最低限Appleの純正マウス、Magic MouseがOS X Lionを活かすためには必要です。
Magic Mouseはスワイプ(画面上を掃くような動作)やタップ(マウスで言うクリック)をサポートしてますから、トラックパッドに近い使い方ができるからです。

今や世界有数の大企業になったAppleですが、その収益の柱はiPhoneとiPad。
その二つの機器が牽引する形で、Macの売り上げも伸びていますから、ユーザーインターフェースに影響があるのは致し方ないでしょうし、Appleの側にもユーザーインターフェースを統合する意志がみえます。
又、Macも主流はデスクトップからノートブックに移行していますから、よりトラックパッドが重視されています。
(デスクトップのiMacでさえ、BTOでマウスとトラックバッドが選択できるほどです。)

iPhoneとiPadは画面に直接指で触れて操作するタイプの端末です。
この操作感覚を、(ある意味で)トラクパッドでシミュレートすることを基本にしたOSがOS X Lionです。
そのことを頭に入れとおかないと、インストールしてから戸惑うことになると思います。



OS X Lionには250以上の新機能があるそうですが、主なものはMission Control、フルスクリーンアプリケーション、Launchpad、「再開」機能、オートセーブ、バージョン、AirDrop、Mailの刷新などです。
幾つか試してみましたが、前述した通りマルチタッチジェスチャーが使えた方が格段に便利です。
機能そのものは、便利なものもあれば、必要ないものもあります。
(例えば、フルスクリーンアプリケーションはノートブックでは便利だが、デスクトップでは画面が間延びする。)
その辺は個人差があると思いますが、操作感覚が大きく変わったことは事実です。

個人的には目玉の機能よりも、Safariのページ移動がスワイプで、ページを送るように次から次へと見られる機能が気に入りました。
この機能はプレビューでも可能で、画像の切り替えがサムネールのクリックではなく、画像をスワイプするとスッと次の画像が現れます。
それと、さりげなくアニメーションが操作に付加されたり、Finderの細かい変更も目につきました。
全体として当初からのAquaインターフェースが後退して、シックでシンプルな作りになったと思いました。



インストールが終わって、ハタと気が付いたことがあります。
互換性の問題です。
ソフトウェアや周辺機器がOS X Lionに対応しているかどうか。
通常はこれを見極めてからインストールするのが、仕事人の務めであり、セオリーです。
よって闇雲にインストールする人種は、その昔は、人柱と呼ばれました。

わたしも仕事で使ってますから、ソフトが使えなかったり、プリンターが動かなくなったりしたら困ります。
幸いなことに、今のところ不具合は出ていません。
このページを作成しているDreamweaver CS3も問題なく動いています。
注意しなければならないのは、PPCのソフトがサポート中止になったことです。
ちょっと古めのソフト、アプリを使ってらっしゃる方はお気をつけ下さい。
それ以外の注意事項やレビューは、多くのWebサイトで詳しくレポートされているので、導入をお考えの方はそちらを参考にして下さい。



OSのインストールは一部の人の趣味か、業務です。
それは今も昔も変わりません。
それでも昔は結構なお祭り(?)でしたが、今はiPhoneやiPadのアップデートの方が大騒ぎになります。
ダウンロード販売の所為で、行列もできません。

そしてパソコンのOSは成熟しているので、無理にアップデートする必要もありません。
何もOS X Lionにする必要はなく、Snow LeopardでもLeopardでも充分なのです。
そういうポジションにパソコンはなったのであり、広い意味ではiPhoneもiPadもパソコンです。
そう考えれば、Macなどのパソコンは徐々に使用範囲が狭まっていくと思います。
ビジネスやグラフィックなどの業務が中心になるのかもしれません。

新奇なデバイス(ガジェット)を試すのは、楽しい経験です。
多分、わたしにとって、OSのインストールはそれと匹敵する面白さがあります。
それが2600円(2台入れたので1台1300円)で楽しめるとしたら、これ以上のことはありません。
趣味ですから、安くすめばそれにこしたことはないからです。