前回の「station」は中央線の始発駅、東京駅の夜景でした。
今回は中央本線のローカル駅、竜王駅です。
竜王駅は山梨県にあって、(東京方面からでは)甲府駅の次の駅になります。
所在地は市町村合併で甲斐市になりましたが、以前は竜王町でした。
わたしの住む笛吹市からクルマで20分余り。
国道20号線に出て、ひたすら真っすぐに長野方面に走って、竜王駅入口の標識がある交差点を右折。
突き当たりが竜王駅です。
駅前の狭い駐車場は満車でしたが、200mほど先に広い駐車場が見えます。
行ってみると有料で、しかも一日単位(800円)か月極めの料金。
ここに停めて、電車で東京方面で仕事(遊び)をして、日帰りでクルマまで戻る。
そういう使い方を前提とした、ローカルな駐車場です。
路上駐車はしたくないので、800円払って駐車することにしました。
駐車場の前から見た中央本線です。
よく晴れた日でしたが、山の方には雲が多く見られます。
空は紺碧ではなく、ライトブルー。
典型的な春の晴天でした。
特別な用もないのに、わたしはなぜローカルな竜王駅まで出掛けたか。
答えは、建築設計です。
世界的な建築設計家である安藤忠雄氏が設計した駅舎、それが竜王駅です。
先月(2008年3月)に竣工したばかりです。
駐車場から歩いていくと、真新しい竜王駅の全景が見えてきました。
ガラス張りの跨線橋が、目を引きます。
跨線橋の両側が駅の入口で、もともとは左側の南口しかなかったそうです。
実は手前の空地が駅の駐車場のようで、ここに停めれば無料でした。
画像には写っていませんが、数台のクルマが駐車していました。
何の標識もなかったので、気が付きませんでした。
有料駐車場にかなりの台数が駐車していたので、正式の開場はまだかもしれませんが。
南口の入口です。
こちらがメインのエントランスです。
直方体を捩じったような造形が、意匠のポイントになっています。
駅の跨線橋が直六面体であるの対して、南北の入口はこのように傾斜をつけて、変化を与えています。
駅の周辺は工事中や整地中の箇所が多く、雑然としています。
駅周辺の整備はこれからで、駅舎の完成は、竜王駅の第一期竣工になるそうです。
では、エスカレーターで駅の内部に行ってみましょう。
左は跨線橋の通路で、右は跨線橋の中央左にある改札口とキオスクです。
プラットホームは地上ですが、駅本体は橋上にあります。
自動改札を入ると、プラットホームへの階段/エスカレーターとエレベーターがあります。
いずれも最新で、都内のJR駅と同じような設備です。
ガラス張りの跨線橋の内部は、あたかも美術館の通路のようです。
キオスクもデザインされていて、ミュージアムグッズを置いてもおかしくありません。
新しい竜王駅の最大の特徴は、この跨線橋からの眺めです。
跨線橋を渡った、北口方面から見た駅舎です。
跨線橋からの眺めを重視した設計であることが分かります。
北口はご覧の通り、整地の最中で、ただ土があるだけです。
整備された広場になるのは、来年以降でしょうね。
駅舎の設計意匠には、三町村の合併を象徴した三面体や、県特産の水晶、近所の信玄堤の聖牛などがモチーフになっているそうです。
部外者には分かり難いのですが、概ね意匠のモチーフとはそのようなものです。
分かったところで、あまり意味はありません。
駅が愛されるかどうかは、ソフトウェア(サービス)と利便性次第ですから。
わたしは、竜王駅のようなモダンデザインの建築は好きです。
無駄のない、洗練された直線で構成された意匠が好きです。
しかし、時代はモダンデザインを無邪気に称賛する時期を過ぎてしまいました。
モダン(近代)そのものが問われているからです。
建築家は、その答えを、意匠に表さなければなりません。
厳しい時代になりました。
さて、肝心の跨線橋からの眺めですが、撮影を優先したので、ゆっくり眺める時間がありませんでした。
バカですね。
写真を撮っていると、このような本末転倒が時々あります。
上は(南口から見て)跨線橋の左側の風景です。
駅付属の建物とタンクに焦点をあてて撮影したものです。
駅の周辺には高い建物がなく、見晴らしは良いのですが、格別に良い眺望ともいえません。
意外にイナカの雰囲気が残っているのが、取り柄です。
station II(2)に続く