古い日本映画を観ていると、銀座、有楽町のシーンが良く出てきます。
場面の転換の最初のカット、つまり場所の説明に多く使われるのは、銀座四丁目の和光の交差点です。
今も昔も、銀座の象徴的な場所ですね。
同様に有楽町の日劇ビルの登場頻度も高いと思います。
日劇はマリオンになって大きく風景を変えましたが、周りはそのままでした。
最近、マリオンと有楽町駅の間で再開発工事が行われています。
又、晴海通りを挟んだ反対側のビルも取り壊され、徐々に昔の面影がなくなりつつあります。
そんな中で比較的変わらないのが、ガード下の飲食街で、今でも焼鳥屋の煙がモウモウと立ちこめています。
テレビなどで紹介される機会が多いので、ご覧なった方も多いと思います。
そんな活気のある場所とは違って、時代から取り残されたような所もあります。
今回取り上げた三原橋の地下商店街です。
三原橋は、四丁目交差点から晴海通りを一分ほど東銀座に向かったところにあります。
四丁目交差点と歌舞伎座の丁度中間です。
その昔は、堀があって三原橋という橋があったそうです。
上の小さな画像が現在の三原橋です。
三原橋地下商店街は晴海通りを横断する形で存在していて、両側に同じような二階建ての建物があります。
銀座一丁目側から見た地下商店街の入口です。
反対側にも同じような入口があります。
この商店街のメインは映画館で、ご覧のように「銀座シネパトス1・2・3」と三館あります。
それでは地下に入ってみますが、カメラはファインダーを覗かないで撮影します。
カメラを持った手を降ろして、任意にシャッターを切りますので、画像に手ブレが生じると思います。
ご容赦下さい。
左は床屋(理髪店)で、右は「シネパトス3」です。
シネパトスの特徴は、場内に地下鉄の音が響くことです。
都営地下鉄の車両ですが、静かなシーンの時はかなり気になります。
(馴れると、何ということもないのですが。)
食堂(牛かつ屋)とポルノショップ(大人のオモチャ屋)。
「二度漬け禁止」の串かつは大阪の名物、でしたよね?
ポルノショップは一度だけ中に入ったことがあります。
人に誘われたのですが、誘われた理由が、どうしても思い出せません。
恐らく銀座で唯一のポルノショップでしょう。
シネパトスの映画のポスターと食堂(割烹)です。
シネパトスはカルトな映画館で、裏シャンテともいえます。
シャンテは日比谷にある映画館で、ここと同じように数館あります。
あちらはミニシアターの芸術系、こちらはB級ティストの娯楽系です。
不入りですぐ打ち切られた映画とか、ビデオが本命で劇場公開はここだけ、という映画などが上映されます。
ディープな映画ファンには知られた映画館です。
わたしは「踊るマハラジャ」、「レス・ザン・ゼロ」等を観た記憶があります。
左の食堂は午後の準備中とあって、白衣や備品が表に出ていますが、この光景は営業中もあまり変わりません。
何故なら、店舗にバックヤード(裏側の保管場所)がないからです。
地下商店の宿命ですね。
他に食堂が二軒ほどありますが、どこも同じようなものです。
裏表のない営業態度で、わたしは好感を持っています。
ここが出口(入口)です。
このアングルから見ると、さほど時代を感じさせませんが、中に入ると雰囲気が変わります。
今どきの銀座と三原橋地下商店街の大きな違いは、その匂いです。
食堂が多い所為か、食べ物の匂いが漂っています。
美味しそうな匂いかというと、(ここだけの話ですが)違います。
何となく、不快。
不快ですが、ある意味で人間の匂いがします。
銀座線浅草駅で下りて地下の商店街を通ると、同じような匂いがします。
無臭(デオドラント)で清潔な昨今の街とは正反対ですが、この匂いがなくなったら、街はツマラナイでしょうね。