井川淳子さんは、紙を素材にして立体の作品を制作してきました。
今年の1月から2月にかけての藍画廊に於ける個展で初めて写真に取り組みました。
写真を撮るのは初めてだそうです。
その為に写真教室で勉強した、とわたしに話してくれました。
実はわたしも写真を生まれて初めて撮り始めていました。
でも、出来が全然違います。
天と地の差です。
お話を聞くと、最初の1枚を撮るのに半年かかったそうです。
納得。
井川さんの写真の被写体は、井川さんの作ったシンプルな紙の作品です。
しかし、その被写体は印画紙に閉じ込められる前に井川さんによって手が加えられています。
写真家とモデルを一人二役でやっていると言ったら解りやすいでしょうか。
展覧会期間中、井川さんの作品に囲まれていると不思議な安らぎと気持ちの良い緊張感に包まれました。
「モダニズムが夢見た理想の世界」、ふとわたしにそんな思いが過りました。
良い作品とは多様な解釈を許す作品でもあります。
今回、阿佐谷「西瓜糖」で藍画廊出品と同一作品の展覧会を催すこととなりました。
好評につき拡大ロードショーといったところです。
しかしながら、今回は器が違います。
藍画廊とは微妙に異なった世界が出現するかもしれません。
楽しみです。
藍画廊でご覧になられた方も、まだ井川ワールドを体験されてない方も、是非観ていただきたい展覧会です。
会期も1ヶ月と余裕があります。
「西瓜糖」で珈琲を飲みながら、「春」と井川さんの作品を鑑賞するのはちょっとした贅沢ではないでしょうか。
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井川 淳子 IKAWA Junko
経歴
東京都生まれ
1990 東京芸術大学油画科卒業
1992 東京芸術大学大学院美術研究科壁画専攻修了
1993 〜1994 オランダ、ハーグ市に滞在グループ展
1997 「美」と「術」1997 藍画廊/東京
個展
1991 ギャラリーQ/東京
1993 ギャラリイK/東京
1996 淡路町画廊/東京
1998 藍画廊/東京
2000 藍画廊/東京