三澤久展
MISAWA Hisashi
三澤久展の展示風景です。
画廊入口から見た左壁面と正面壁面、及び右壁面の展示風景です。
(その他、正面壁面裏に2点の展示があります。)
以上の18点で三澤久展は構成されています。
作品はすべてタイトル「にわ」で、写真(インクジェットプリント)です。
作品の詳細をご覧下さい。
左壁面の作品です。
左からサイズ235×160mm、255×165mm、165×2555mm、255×165mmです。
正面壁面左の作品です。
左から255×165mm、255×165mm、255×165mm、です。
正面壁面右と裏奥の作品です。
255×165mm、255×165mm、400×240mmです。
正面壁面裏と右壁面左側の作品です。
左から160×235mm、165×255mm、255×165mm、255×165mmです。
右壁面右の作品です。
左から255×165mm、255×165mm、255×165mm、170×220mmです。<作家コメント>
ここ何年かは庭での撮影が殆どです。
庭の草木や、野菜達 その生き物達との関わりの中で私は成り立っています。
特に今回はその「終わり」の朽ちてゆく姿の美しさに視点を合わせて撮影しました。
そして「終わり」は必ず次の「始まり」へと続き、その輪廻は繰り返されて行きます。
・・・そんな様子をお伝え出来ればと思います。
本展のサブタイトルは「にわ」です。
わたしが育ったのは地方都市の町中でしたので、「にわ」はありませんでした。
狭い敷地一杯に家が建っていたからです。
その後都会の賃貸生活では二坪ほどの小さな庭付に住んだことがありますが、興味がなく放りっぱなしでした。
今再び地方の異なる町中に住んでいますが、「にわ」は舗装され駐車場と化しています。
「にわ」は近隣との緩衝地帯であり、自然の生態系が存在する場所でした。
それが今や地方の移動手段であるクルマの置き場に変わりました。
土地に根ざすことよりも移動することを重視する、近代を象徴する場所になりました。三澤さんの家の「にわ」は草木が生い茂り、野菜が栽培される昔ながらのものです。
三澤さん自身は会社員なので専業ではありませんが、農業も営んでいます。
そして三澤さんが育てた野菜は三澤さんの食材となり、その土壌は多くの生物による生態系を為しています。
いわゆるエコシステムですが、それが根底にあって本展の写真は撮影されています。展示された写真は遠目で見ればほとんどが黒い画面のモノクロームです。
近づくと、被写体である草木や野菜が細密に、触れば凹凸のある立体であるような姿で写っています。
それは用を終えた無数の根や枝の集まりであったり、虫に食い荒らされた葉であったり、腐って黒光りするトウモロコシです。
つまり死を迎えた植物の形態ですが、これらは土に還ることによって次の生を育てる養分になります。
それを媒介するのは土の中の微生物や菌で、地中でエコシステムのネットワークを形成しています。
三澤さんの写真は草木や野菜達の死を微細な部分まで捉えた美しいものです。
優れた銅版画を見ているような錯覚を覚えますが、そのリアルな造形からは生と死が繋がり、そこからまた生が生まれるという循環が浮かんできます。
三澤さんの写真は、本来「にわ」とはそのようなものであったことを思い出させます。ご高覧よろしくお願い致します。
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三澤久展
会期:2024年8月1日(木)〜8月18日(日)
開廊日:木・金・土・日
時間:12:00〜18:00
会場アクセスと展覧会スケジュール