藍 画 廊

五十川祐
ISOGAWA Yu


五十川祐展の展示風景です。



展示室A入口から見た展示です。



展示室A、左側の壁面です。



展示室A、右側の壁面です。



展示室B、左側の壁面です。



展示室B、右側の展示です。

以上の10点で五十川祐展は構成されています。
(ページ最上の画像は展示室Bコーナーの作品、その他展示室Aの入口にも作品があります。)
作品の詳細をご覧下さい。

 


展示室A、左壁面の作品です。
左からタイトル「いつか消える他人の目」(モルタル、椿油)でサイズ158×227mm、「作曲者不明の楽譜」(モルタル、アクリル絵具)で300×450mm、「ある役者 #3」(モルタル、アクリル絵具、椿油)で455×530mmです。


展示室A、左壁面の作品です。
左から「You don't response it」(モルタル、アクリル絵具)で318×410mm、「失われた快適さ」(モルタル、アクリル絵具)で410×318mmです。



展示室B、左壁面の作品です。
左から「雲を掴む」(モルタル、アクリル絵具)で410×318mm、「いつか抜けるまつ毛」(モルタル、椿油、アクリル絵具)で、158×227mmです。

 


展示室B、右壁面及びコーナーの作品です。
左から「ある役者 # 」(モルタル、アクリル絵具)で410×318mm、「See on the other side」(モルタル、アクリル絵具)でサイズ不明、「返事のないメモ」(モルタル、椿油、アクリル絵具)で273×220mmです。


ボンヤリとした画面の絵ですが、不思議なテクスチャー(材質感覚)があります。
作品リストでマテリアルを見ると、モルタルとあります。
木造モルタル二階建てのアパート、のモルタルですね。
それでモルタルとは何かを調べてみると、「セメント+砂(細骨材)+水」と出ています。
モルタルはアパートだけでなく、オシャレな建築の床や壁などの仕上げ材としても使われています。
藍画廊前回酒井みのり展は土で驚かされましたが、今回はモルタル。
画材屋さんの売上が減っているそうですが、その理由が分かりますね。
現代美術家は専らホームセンターで画材を調達しているようです。

それはさておき、このモルタルの使用が五十川さんの絵画の大きな特徴です。
独特の肌理の粗いマチエールとフワッとした筆致の組合せ。
彩度を抑えた美しい色彩の、クローズアップされた人体。
モルタルに組み込まれた金網やモルタルの割れによる、より物質的な絵画表現。
でもよくよく考えてみると、これは絵画の先祖返りです。
古代の洞窟画や中世の宗教画の多くは壁画でした。
つまり絵画は場所に固定されたもので、キャンバスによる移動はおおよそ近代以降です。
バンクシーのグラフィティがサイトペシフィック(場所への帰属)であるのと同様、五十川さんの絵画は壁であることを意識させます。
しかしその壁が移動可能であるのは、メビウスの輪のような面白さです。

描かれた手や足、顔や上体などは何を意味しているのか。
五十川さんに訊ねると、人が人やモノと関わる端緒やコミュニケーションに興味があるようです。
大まかに言えば、人が世界と関わることの意味を探っているのかもしれません。
ともあれ、この謎に満ちたビューティフルな絵には新鮮な刺激があります。
確たる意味は不明であっても、絵と対面すれば、わたし同様にその絵画的世界に引き込まれると想像します。

ご高覧よろしくお願い致します。

作品リスト

 

会期

2024年7月1
日(月)ー7月6日(土)
11:30ー19:00(最終日17:00)

会場案内