井上修策展
layered sculapture ‒ 律動体 ‒
INOUE Syuusaku
井上修策展の展示風景です。
井上修策展は床面と壁面の立体で構成されたのインスタレーション作品です。
作品タイトル「律動体」(木にウレタン塗装)で、サイズは可変です。
以下は設置された作品の画像です。
上の2点は壁面の立体作品です。
〈作家コメント〉
律動体
律動は呼吸や脈拍運動をはじめ、生命現象すべての中に存在し、 地球の運動などにもその根源が認められる。
この運動は時に幾つもの層を形成し造形美へと繋がる。
人間に置き換えてみる。
日々の律動の中で精神的ににも物理的にも幾つもの層をまとい 脱ぎ、その生命を終える。
それらを私は律動体と呼ぶ。
形態としてマトリョーシカを選択したのは ロシア一党独裁政治の醜さを、マトリョーシカ内側深くに閉じ込め 静かな永眠を願ってである。
作品サイズはウラジーミルの身長約168cmに合わせて制作した。
2023.4 井上修策
井上修策さんの作品は、層(レイヤー)になった人体の形が基本になっています。
それがマトリョーシカ(入れ子状になったロシアの人形)のようになっているのが特徴です。
もともとは直方体で、そこに入れ子になった人体が収められた仕様で、会場では散(ばら)けた感じで展示されています。
作品はいずれも木にウレタン塗装が施された白い立体ですが、その重なりと質感が美しい表情を見せています。コメントにあるように、生命の本質は律動(運動)です。
地球は自転、公転という律動を休まず行っています。
その律動から生物が生まれ、人間も誕生しました。
人間の生命維持は呼吸や血液の循環=律動によって保たれます。
つまり地球と人間は律動という運動によって繋がっていると考えられます。井上さんが画廊に立て掛けた直方体は、あたかも棺桶のようです。
その最中心部は壁面の二つ立体です。
これは生命の核になる細胞かもしれません。
もしそうだとすれば、直方体には生と死が同居していることになります。
この見立てが正しいかどうか分かりませんが、生と死が断絶ではなく不可分の形で繋がっていることを表しているように思えます。
生命の時間が直線的なものではなく、循環の律動(運動)として視覚化されているのです。
(律動は層を形成していて、それは波=周波数の重なりにも見えます。)
作品には反戦の意思も込められていて、それはある人物の墓として設定されています。生が律動であれば、死も律動の一過程です。
そこに断絶はありません。
であれば、死は本来恐れるものではないと思います。
そんなことを考えながら、井上さんの作品に見入りました。
ご高覧よろしくお願い致します。
会期
2023年4月17日(月)ー4月22日(土)
11:30ー19:00(最終日18:00迄)
会場案内