藍 画 廊


矢成光生展
-something in The Air-
YANARI Mitsuo

矢成光生展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の10点が展示室の展示で、その他小展示室に8点の展示があります。
作品の詳細をご覧下さい。



右側壁面の作品です。
タイトル「Wonder Future」(木製パネル<3点組>カシュー・油彩)でサイズ2273×4860mmです。


「Wonder Future」の部分です。



正面壁面の作品です。
「Unknown City」(木製パネルに綿布・カシュー・油彩・アクリル)で894×1455mm(M80)です。



右側壁面、左端の作品です。
「城核 001」(木製パネル・カシュー・油彩)で920×1170mmです。



右側壁面、右端の作品です。
「城核 002」(木製パネル・カシュー・油彩)で920×1170mmです。



入口横壁面、左端、左から2番目、3番目の作品です。
左は「Cube-001」(木製パネルに綿布・カシュー・油彩)で248×339mmです。
中央は「Cube-002」(木製パネルに綿布・カシュー・油彩)で248×339mmです。
右は「Cube-003」(木製パネル・カシュー・油彩・アクリル)で215×298mmです。



入口横壁面、左から4番目、5番目、右端の作品です。
左は「Cube-004」(木製パネルに綿布・カシュー・油彩)で220×273mm(F3)です。
中央は「Cube-005」(木製パネルに綿布・カシュー・油彩)で186×221mmです。
右は「Cube-006」(木製パネルに紙・カシュー・油彩)で165×230mm(SM)です。

〈作家コメント〉

- Something in The Air –
「目に見えないものを視覚化して日本を描いてみたら…」と震災後に思い、全国に18ヶ所ある原子力発電所と街や自然を併せた風景を3年かけて描きました。
これからについて問いとなる様な作品であればと思います。


矢成さんの「Wonder Future」は3年を費やした3枚組の大作です。
日本の象徴的な都市や街と18ヶ所を数える原子力発電所を同一平面に同居させています。
地理的な遠近は無視し、雲、霞(かすみ)で異なるシーンを共存させる手法を採っています。
これは大和絵特有の技法で、屏風、絵巻物などで多用される表現方法です。
ここでは黄色い雲、霞は放射能やPM2.5などの汚染された大気を表しています。

「Wonder Future」が制作の際引用したのは『洛中洛外図』です。
『洛中洛外図』は京都の市街と郊外の景観や風俗を描いた屏風絵ですが、鳥俯瞰図で描かれるのが特色です。
「Wonder Future」はこの構図、景観に雲、霞を用いて、日本列島を縦横無尽に描写しています。
大和絵の『洛中洛外図』のような手法は、現代ではジオラマに近いと思います。
ある意味で、ギミックを技法までに昇華させた、優れた絵の描法と言えるでしょう。

矢成さんの「Wonder Future」などの作品は、美術の可能性の追求と同時に問題提起が為されています。
言うまでもなく、原発の問題です。
福島の惨状を見れば、原発が例えようもなく危険であることは自明です。
それでも再稼働、輸出を推進するのは、発電コストや安定供給、国益、そして利権があるからです。
前者は経済発展、生活の利便、後者は砂糖に群がる蟻の群れです。

経済の成長や利便性の維持、増進。
もうそこから生活のことを考えるのは止めた方が良いのかもしれません。
低成長、現状維持、あるいは生活レベルの低下を前提とした、楽しくも暮らしやすい社会を考える方が賢い思考法と思います。
そういう発想からスタートすれば、過疎地の犠牲の上に成り立つ原発行政にもストップが掛けられる可能性があります。

矢成さんが『洛中洛外図』のような古典的な技法を引用した理由は、絵画的な要請だけではないと想像します。
『洛中洛外図』が描いたのは、16世紀初頭から江戸時代までの人々の生活や暮らしぶりです。
その生活の実質も含んだ上での引用ではないでしょうか。
穿った見方かもしれませんが、そう考えた方が作品の鑑賞に幅が出て、矢成さんの意図に近づけるような気がするのです。
もし未来に何かを投企したいのなら、参照するのは過去以外にはありません。
痩せた今を豊かにするのは、先人の知恵と生活が最も有効ですから。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

会期

2017年4月25日(月)ー29日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内