「子育てと美術 2016」
岡典明/斎藤ちさと/佐藤梨香/福田昌湜/mhR
本展はmhR(村田早苗)さんの企画で、参加作家の展示とテキスト(小冊子)で構成されています。
子どもがいる/いないにかかわらず、少子高齢化の下社会経済の維持の為、未来を担う者の再生産と再分配に私たちは関わっています。ところで、あなたは美術家として子育てにどう関わっていますか。関わろうと思いますか。・・・ 「子育てと美術2013」には一般の方のほか、ベビーカーで乳児と一緒に尋ねてくれた育児休暇中の美術家や美術家が子連れでファミリーで見に来てくれたり、教育普及に携わる方々と様々な話をしたり、貸画廊の日常とは大きく違う7日間となりました。
企画者として参加者として大きな達成感を得ましたが、「子育てと美術2013」プロジェクトには「自己規制」がありました。
「子どもがいる/いないにかかわらず」と指し示しながら「子どもがいない」ことに対する過度の配慮と排除が生じていました。結婚歴があって子どもがいない女性美術家に参加呼びかけをしません、いえ、できませんでしたし、また「子育て」という言葉に対し強い嫌悪感を示す美術関係者、男性/女性にかかわらず、少なからず遭いました。はっきり「関係ない!」と吐き捨てられたりしました。
性表現や政治的表現のみならず「子ども・子育て」表現もまた忌み嫌われる対象、ある意味タブーであるのだと気付きました。
「子育てと美術2013」で欠いたもの、欠かしたことについて目を閉じずに見、表現しなければならないと思いました。
2015年3月のことです。
その日、ある美術展を鑑賞し終えて帰ろうとした時、脳裏をよぎった女性美術家が目の前に立っていました。
すぐに声をかけました。このように直感的に声をかけていきながら、参加してくれることになった作家らと1年以上情報交換や交流、対話を重ねてきました。
サブタイトル「縁あって子どもはいない」は対話の中から表出したものです。
「子育てと美術2016」は、企画者以外全員「結婚歴があって子どもはいない」中高年の美術家の作品を展示します。
前回同様、文集も作りました。
それから「子育てと美術」英語タイトルもつけてみました。
Parentality / Artistry ・・・美術家の営みについて、改めて考えてみたいです。
会期中は誰かしら参加作家が在廊します。
どうぞ「子ども・子育て」について自由にお話しください。
mhR/村田早苗
「子育てと美術 2016」展の展示風景です。
各作家ごとの展示をご覧下さい。
斎藤ちさとさんの作品です。
上は左壁面の展示風景の全体です。
中央はタイトル《びじゅつの欠片》(版画集・シルクスクリーン)でサイズ42.7×60.6cmです。
下は画集《びじゅつの欠片》を壁面に展示したものです。
斎藤ちさと/テキスト
佐藤梨香さんの作品です。
上は正面壁面の展示風景全体です。
中央は「青ちゃん、洗濯」(カンヴァス・油彩」で180×145cmです。
下は事務室壁面の展示で「青ちゃんとシーツ」(水彩用紙・鉛筆)で36.2×39.5cm、36.7×39.7cmです。
その他ドローイング2点が事務室壁面に展示されています。
佐藤梨香/テキスト
岡典明さんの作品です。
上は右壁面の展示全体です。
中央はインスタレーションの全景です。
下は「ぼくの家、わたしの家#3」(カンヴァス・アクリル絵具)で27.5×22cmです。
岡典明/テキスト
右壁面に展示された「子育てと美術」の2013年、2016年のブックレット(小冊子)とDMです。
参加作家のテキストが収録されています。
福田昌湜の作品です。
上は入口横壁面の展示全体です。
中央は「路上にて1」(アーカイバルピグメントプリント)で32.9×48.3cmです。
下は「路上にて2」(アーカイバルピグメントプリント)で21×21.9cmです。
福田昌湜/テキスト
mh R(村田早苗)さんの作品です。mh Rさんは子どもがいます。
小展示室を使った展示で、多数のTシャツが展示されています。
画像はインスタレーション「無償と搾取」(Tシャツに刺繍)の一部で、毎日刺繍をしているうちに、思い出した簡単に答えられなかった質問をトルコ語に翻訳したものです。
『あなたは結婚して、子どもがいて、家があって幸せなのに、なぜアートしたいの? 』
mh R(村田早苗)/テキスト
毎日Tシャツに刺繍している会期
2016年9月12日(月)ー17日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内