藍 画 廊


新世代への視点2016
日比野絵美展 -Quiet Color-
HIBINO Emi


東京現代美術画廊会議(銀座、京橋地区の10の画廊を中心に発足し、現在は13の画廊)は、1993年より「-画廊からの発言- 新世代への視点」を主催してまいりました。
17回目の開催となる2016年展の藍画廊の展示は、日比野絵美さんの作品です。

展示風景です。



壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。
以上の25点が展示室の展示で、その他小展示室に2点、事務室壁面に1点の展示があります。
作品は展示室と事務室壁面が紙・インク / ドライポイント・カーボランダムで、小展示室が紙・インク / ドローイングです。
作品を1点づつ御覧下さい。



左壁面、左端の作品です。
タイトル「NO. 10」でサイズ60×60.5cmです。



左壁面、右端の作品群です。
タイトル「evidence 1」から「evidence 6」で、サイズは各32.7×34cmです。



正面壁面の作品です。
「NO. 0 (組作品)」で111×153cmです。



右壁面、左端の作品群です。
タイトル「no title 1」から「no title 4」で、サイズは各51.5×51.5cmです。



右壁面、中央の作品です。
「NO. 9」で29.8×29.6cmです。



右壁面、右端の作品群です。
タイトル「no title 2-1」から「no title 2-4」で、サイズは各26×26cmです。



入口横の壁面です。
タイトル「NO. 1」から「NO.8」で、サイズは各32.8×39.6cmです。

〈作家コメント〉

銅版画を制作しています。銅版独特の黒いインクは、ぬめっとしていて生々しく、生きているように見えます。私はその黒い色に魅力を感じています。
版に向かって毎日ごりごりとニードルで面を作りこつこつ刷り続ける一連の行為の集積が、空間と一体となり、作品が成立します。

日比野さんの作品は空間と一体になっています。
作品は1点づつ独立していますが、全体としても1つの大きな作品として提示されています。
藍画廊の白い空間を意識しながら作品を制作し、配置を思考して、展示を決定します。
又、紙の質感、存在を生かした展示を心がけ、余分な要素になりうる額装を避けています。
一般的な版画の展示とは大きく異なった空間ですが、独りよがりなところは微塵もなく、スッキリとした見やすい展覧会になっています。

版画の技法の面ではカーボランダムが目に付きます。
まず銅版の上にボンドで描画して、その上に砂を撒きます。
するとボンドある部分に砂が着き、上からローラでインクをのせると砂にインクが付着します。
その版をプレス機で紙にプリントすると凸版の版画が完成します。
通常銅版は凹版ですから逆になります。
原始的ともいえる技法ですが、その特質を利用した力強い、プリミティブな表現になっています。

表現の様式は、初期にあった機械的ともいえるパターンから、手仕事を強調したようなものに変化しています。
同じモノトーンながら、ドローイングのような手の痕跡が見える作品への変化です。
それにともない、パターンを意識するより、不揃いな円や楕円に目が行きます。
喩えてみれば、繰り返される日常の列よりも、日常の差異にスポットがあたった感じです。
一日一日を生きることを重視した姿勢の顕れかもしれません。

版画は少なからず工芸的要素があるので、日比野さんようなコンテンポラリーな表現は少数派です。
しかもモノトーンに徹して、色を使いません。
サブタイトルの通り、Quiet Colorです。
それでいて、禁欲とは正反対の伸び伸びとした作品になっています。
良い意味での女性らしい優しさもあって、表現に幅があります。
狭小なジャンル分けとは無縁ですが、版画の特質はしっかり受け継いでいて、足下がしっかりしています。
なおかつ適度な洗練と緊張感と清潔感があって、今現在を意識させる版の作品です。
版画は日比野さんような作家に継承されて生き続けるのではないでしょうか。

ご高覧よろしくお願いします。

プライスリスト1
プライスリスト2

2011年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2013年藍画廊個展
2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展

 

「新世代への視点2016」公式Webサイト

 

会期

2016年7月25日(月)ー8月6日(土)
日曜休廊
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内