藍 画 廊



Switchers 3×3


「Switchers 3×3」はグループ展ですが、通常のグループ展とは異なります。
私学の三美大の教官三人が、それぞれの大学から一人学生を選抜し、また教官自らも出展してるグループ展です。
三美大とは女子美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学です。
教官は女子美術大学が中村一美先生、武蔵野美術大学が袴田京太朗先生、東京造形大学が近藤昌美先生です。

企画を担当したのは東京造形大学の近藤昌美先生で、展覧会フライヤーに企画意図が記されていますので、以下に転載いたします。

”Switchers”とは、スイッチを切り替える者という造語である。

”Switchers”とは、今年起こった未曾有の状況を目の当たりにした我々の穏やかなる変化だ。
決して忘れられないことを抱えて生きて行く、という意識をこの展覧会の支えにしたい。


Switchers 3×3の展示風景です。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
武蔵野美術大学の松尾勘太さんの作品です。
左から、タイトル「untitled」
でサイズ162(H)×130(W)(F100) cm、「夜の空間」で162×130(F100)です。
キャンバス・油彩・クレパス・木炭を使用しています。



正面の壁面です。
女子美術大学の清水香帆さんの作品です。
左から、「波を結う」で194×162(F130)、「ミナモをくくる」で162×130(F100)です。
キャンバス・油彩を使用しています。



右側の壁面です。
東京造形大学の衣真一郎さんの作品です。
左から「家」で117×117(S50)、「田んぼと土器」で130×194(F120)です。
キャンバス・油彩を使用しています。



入口横の壁面です。
左から中村一美先生の「存在の鳥64」(キャンバス・アクリル絵具)で73×61(F20)、袴田京太朗先生の「這う煙」(アクリル板)で9×53×9、近藤昌美先生の「Switch-1.2011 (skeleton, flowers & mountains)」(キャンバス・油彩)で91×73(F30)です。

以上の9点が展示室の展示で、その小展示室に8点の小品展示があります。



左壁面の松尾勘太さんの「untitled」です。
モノトーンの絵画ですが、ふしぎな絵ですね。
頭部が二つあって、乳房のような、果実のような膨らみが多数あって、背後には動物のようなものがいます。



同じく松尾さんの「夜の空間」です。
同じような立像ですが、こちらも不気味。
イラストレーションのような顔、人物の描画もあります。

松尾さんの絵画はどことなくキリコの画風を彷彿させますが、自分の絵になっているのはさすがです。
基本的な技術がしっかりしていて、人間や生物、植物の本質(生命)に迫ろうとする姿勢に揺るぎがありません。
今風という形容を退ける、オリジナリティのある絵画です。



正面壁面の清水香帆さんの「波を結う」です。
鮮やかな色彩の抽象画で、モチーフは風景ですが、具体的な風景を描いたものではありません。

あくまでも、描画のきっかけといった意味の風景です。



「ミナモをくくる」です。
これも色彩豊かな抽象画です。
具象が全盛の時代に、あえて抽象画。
しかし清水さん、色感の優れた方ですね。
絵画の色彩の醍醐味を味あわせてくれる、抽象画です!



右壁面の衣真一郎さんの「家」です。
まごう事なき家ですが、個性的なタッチ(筆致)ですね。
色も大胆。
家は人間の生活の基本的な場であり、シェルターです。
そういった家の機能や役割までも想像させる、絵画です。



「田んぼと土器」です。
題名どおりの絵画ですが、その平面性とタッチのプリミティブな感触が何といえず良い作品。
これも、農耕や狩猟といった、人間本来の生活様式を真正面から扱った作品ではないでしょうか。
アニミズムの持つダイナミズムや大らかさを巧みに表現した作品と思いました、



女子美術大学の中村一美先生の「存在の鳥64」です。



武蔵野美術大学の袴田京太朗先生の「這う煙」です。



東京造形大学の近藤昌美先生の「Switch-1.2011 (skeleton, flowers & mountains)」です。



三美大の学生の三者三様の絵画。
どれも見応えがあり、完成度の高い作品です。
そして、各々が自分の絵を描いています。
そこが一番大切なところで、一番難しいところです。

Switchers。
歴史に区切りがあるとしたら、間違いなく、今年はその区切りです。
そこで表現者は何を為したら良いのか。
その切実な思いが、この展覧会の底に流れています。

Switchers。
それは教師も学生も関係ありません。
同じ表現者として、時代に向き合わなければなりません。

Switchers。
この特異な企画は、継続されるべきです。
一人の教官と一人の学生。
三人の学生。
この錯綜した関係が生み出す緊張感。
そこから生まれる作品の深度。
それこそが、Switchersを生んで行くと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。


会期

2011年8月8日(月)ー8月20日(土)

日曜休廊

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内