島田恒平写真展は七点の写真作品で構成されています。
写真はすべてモノクロームです。
画廊入口からの展示風景です。
藍画廊は道路側(上の写真の右側壁面側)にも入口があります。
この入口は移動壁面で閉じることもできます。
展示内容によって、入口になったり壁面になったりします。
今回は入口を閉じて壁面として使用しています。
正面の壁面から右側壁面に繋がる形で四点の大きな写真(795×1000mm)が展示されています。
ゼラチンシルバープリントをアルミ板にマウントした作品です。
その右側の壁面には額装された作品(195×247mm)が二点展示されています。
同じくゼラチンシルバープリントです。
どちらも写っているのは、ビル街の風景です。
それもゴチャゴチャしたオフィス街のビルを撮ったものです。
中央区のビル街でしょうか。
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画廊入口からみて左側の壁面です。 サイズ、仕様は上の四点と同じです。 |
作品に近づいて撮影してみました。
右側壁面の左側の作品です。
作品サイズでトリミングしましたので、下は作品の全体です。
人やクルマが通る道路から見るビル街の風景が表側としたら、これは裏側の風景かもしれません。 あるいは、ビル街の「素顔」とでも表現できるでしょうか。 一応は秩序のある個々のビルが、無秩序に並んでいます。 空間に隙間が作られることを許さないように、一面がビルの幾何学的造形で埋め尽くされています。 日本的といえば、あまりにも日本的な風景です。 |
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注意深く見ていると、これらの作品は一定の撮影条件で撮られているのがわかります。
曇天に、匿名性のあるビル街で同じ程度の高さから撮影されています。
上の方に空が少し入るようなアングルも同じです。
そのようにして観察された風景は、絵画的でありながら写真そのものでもあります。
このポジションが、島田さんの視ている位置なのかもしれません。
これらの風景は、誰かが意図したものではありません。
にも関わらず、一見しただけでは判別できない類似があります。
それは、風景の相の様なものではないでしょうか。
画廊内には作家島田恒平さんのテキストも展示されています。
これも御紹介したいと思います。
ビルの非常階段に立って、目の前の拡がる風景を見る。
風景を、写真という再び見出されるのを待機している
もののために、思考する。
風景という言葉から零れ落ちる、余剰というべきような
「外にある」細部に目を凝らす。
風景の外部、外にあるもの。その余白。
その外を内へ折り込もうとする、際限の無い繰り返し。
そして、開け放れた書物のように、
読まれるのだけを待っている。
(改行は原文のまま)この風景に折り込まれているのは、わたしであり、貴方です。
そしてこの風景を自由に読むのも、わたしであり、貴方です。※ 同じようなビル街を撮影したカラープリントの作品も、会場にファイルとして置かれています。
モノクローム作品と比較して観られることを御奨めいたします。
又、島田さんのWebサイトでも作品を閲覧できます。
御高覧よろしくお願いいたします。
2002年1月28日(月)-2月2日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内
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