藍 画 廊



福村彩子展
Do you love me ?
FUKUMURA Ayako


福村彩子展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「maternal love」(油彩・綿布)で、サイズ116.0(W)×89.0(H)、「jealousy」(油彩・綿布)で65.0×54.0です。



正面の壁面です。
左から「shan gri - la」(トレーシングペーパー・ミクストメディア)で133.7×200.4、「ときどきごめんなさい」(トレーシングペーパー・ミクストメディア)で135.0×200.1です。



右の壁面です。
左から「himitsu no tobira」(油彩・パネル)で116.0×89.0、「don don don」(油彩・綿布)で130.0×162.0、「live on cooking」(油彩・綿布)で27.0×22.0です。



入口横の壁面です。
「yukinohi」(油彩・綿布)で27.0×22.0です。

以上の8点で福村彩子展-Do you love me ?-は構成されています。



左壁面の「maternal love」です。
maternal loveは母性愛という意味ですが、この絵をよ〜く見ていると人物の横顔が見えてきます。
中央やや左に真横から見た人物の顔が見えます。
一見抽象画に見える福村さんの絵画ですが、このようにモチーフがあって、そこから絵を発展させています。



「maternal love」の部分です。
福村さんの絵画を特徴づけているのは、何といってもこの筆のタッチですね。
それと青を基調にした多彩な色使い。
濃厚なタッチの画面ですが、さほど圧迫感を感じないのは、作者の資質だと思います。



同じく左壁面の「jealousy」です。
jealousyは嫉妬の意ですが、赤系の色彩が美しい小品です。



正面壁面の「shan gri - la」と「ときどきごめんなさい」です。
トレーシングペーパーに鉛筆やパステルなどの各種画材を使用した大作2点です。
ここで簡単に福村さんの絵画の制作過程を説明すると、まず1枚の絵(下絵)を描きます。
その絵を大きな画面に、コラージュするようにして構成します。
上の2枚のドローイングは、まさにコラージュした状態の作品です。
上の画像では細かい部分が判りません、実際に見ると、いろいろなものが描かれています。
それを今までは絵画にしていましたが、今回は1枚の絵(下絵)を絵画に仕上げています。



右壁面の「himitsu no tobira」です。
風景を描いた作品ですが、部分的に彩色された赤系の色が効果をあげています。



同じく右壁面の、「don don do」です。
この個性的な筆致と彩色は、何ともいえない美しさを開示しています。
このトーン(色調、階調)は一度見ると癖になるというか、画面の前から離れられない魅力があります。


Do you love me ?
わたしは愛されているだろうか。
この不安は、誰しもが持っている不安ですね。
そして表現の根源には、この不安があります。
「果たして、わたしは世界から愛されているのだろうか」という不安と疑問が。

福村さんがまず描く絵は、日常のスケッチや頭に浮かんだ事柄です。
つまり私生活から生まれています。
そういった意味では、私小説ならぬ私絵画になります。
しかしそれは出発点であって、絵が展開されることによって、表現は普遍性を帯びていきます。

個人的な感想を書かせてもらえば、福村さんのドローイングのユニークさと同様、絵画の特異性に目を奪われました。
隙間なく濃厚なタッチで埋め尽くされた画面。
青を基調としたダークな色調に、赤という色の美しさ、妖しさを際立たせる構図。
カオスの中に垣間見える、ある種の端正さ。
そこにあるのは、絵画の深い味わいです。

しかし、この昏(くら)さは開かれています。
このさりげない日常から生まれた自己開示は、他者や世界と通底しています。
だから、福村さんの問いの答えは、きっとこうなるでしょう。
Yes we love you !

ご高覧よろしくお願い致します。


会期

2011年2月14日(月)-2月19日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内