平部るり子展
ー遠望ー
HIRABE Ruriko
平部るり子展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「雨降り」で、サイズP50 116.7(H)×80.3(W)cm、
「こゆるぎ」で、F50 116.7×91cm、
「空とぶ」で、S25 80.3×80.3cmです。
入口横右の壁面です。
「高曇り」で、S40 100×100cmです。
左側の壁面です。
左から、「春」で、F10 53×45.5cm、
「tricolored」で、P80 145.5×97cm、
「春」で、F10 53×45.5cmです。
以上の七点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点の展示があります。
作品は麻布、綿布に油絵具を使用しています。
左壁面の「春」です。
手前と向こう側の緑の三角が山で、その間にある湖。
わたしの勝手な想像ですが、そう的外れでもなさそうです。
本展のサブタイトルは「遠望」。
遠くを望み見ることです。
同じく左壁面の「tricolored」です。
(この画像のみ藍画廊/菊池絵子の撮影。)
「tricolored」とは三色旗のことで、画面も三つの色面で構成されています。
白い砂浜とエメラルドの海に夜明け前の空。
そんな遠望が浮かびます。
クッキリとした色面で構成された作品の多い中では、異色の「雨降り」。
正面壁面の作品です。
降り注ぐ雨と大地を想像しますが、細かな筆致と、モノクロームから浮かび上がる色彩に目を奪われます。
瀬戸内海に浮かぶ島々、あるいは竜安寺の石庭。
「こゆるぎ」ですが、シャープな線が色面を分けているにも関わらず、ユッタリとした雰囲気が漂っています。
何処とはなしに、和(風)を感じさせる作品です。
右壁面の「空とぶ」です。
これは難しいい遠望ですね。
ダムの底から見た青空?
正解は、坂道の下から見た風景です。
(といっても、作品は見る人の自由ですから、各自の遠望でご覧下さい。)
最後は入口横右壁面の「高曇り」です。
個人的には最も好きな作品です。
単純な形だけで構成されていますが、味わい深く、見飽きない作品です。
小細工を弄さず、絵を絵として、真正面から描いています。
平部さんの「遠望」シリーズ、楽しい作品です。
子供の絵のようなイノセント(無邪気)を、上手く大人の感性で仕上げています。
大胆で自由だけれども、品の良さも持ち合わせています。
遠くを望み見ること。
遠くにあるのは風景ですが、それを見る人の中にも、遠くがあります。
記憶です。
平部さんの作品には、二つの遠くがあって、それが重ね合わされて、存在しています。
その二つの遠くは、ほど良い遠さで、遠すぎることも近すぎることもありません。
ほど良い遠さは、そのほど良い距離によって、想像力が生み出されます。
想像力も又、遠くを見ることです。
平部さんが見ているのは、外と内です。
画面の中で、外と内が出会って、そこにもう一つの空間が生まれます。
絵の、空間です。
描くこと、見られることによって生成される、絵画の空間です。
ご高覧よろしくお願い致します。
作家Webサイト
会期
2008年4月7日(月)ー12日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)
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