藍 画 廊



松川右紀子展
〜表情〜
MATSUKAWA Yukiko

松川右紀子展の展示風景です。

	画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 作品サイズは三点共F80(145.5×112cm)でキャンバスにアクリル絵具を使用しています。
	入口横右の壁面です。 作品サイズF80で、キャンバスに油絵具を使用しています。
	左側の壁面です。 左から、作品サイズF80、 F30(91×72.7cm)で、二点共キャンバスにアクリル絵具を使用しています。

作品のタイトルはすべて「表情 Expression」です。
以上の六点で松川右紀子展は構成されています。

左壁面の作品です。
老人の表情でしょうか。
う〜ん、和みますね。
とっても柔和な表情で、オレンジを基調とした色彩に引き込まれそうです。

同じく左壁面の作品。
目があって、口がある、表情ですね。
よーく見ないと、表情には見えません。

正面壁面左側の作品です。
こうなると、表情を探すのは無理かもしれません。
表情をモチーフにした絵画、と理解した方が良いかもしれません。
色彩と形に動きのある、スピード感溢れる絵画です。

左壁面の柔和な表情と対になるような、右壁面の表情です。
どちらも真正面から表情を捉えています。
何ともいえない、表情ですね。
右目と左目の違いに、注目して下さい。
口元も、黙して語っていますね。

展示作品の中では、ちょっと雰囲気の異っている、入口横右壁面の作品です。
キュービズムのようで、他の作品とは違うレトロさがあります。
共通するのは、独特の目の表情でしょうか。


表情。
現代人の、特に若い人の表情は、洗練されていて、薄い。
昔の人のような、アクがありません。
刺激的な、エグミがありません。
それは別に悪いことではなくて、それが時代というものです。

松川さんの描く表情は、昔の人の顔、表情に近い。
濃くて、アクがあります。
表情が豊かで、表情の原点みたいな所がある。
阿波踊りの踊り手の表情に、同じようなものがあったと記憶しています。
そう、「ひょっとこ」のような表情です。

松川さんの絵画を見て、すべての作品に表情を見出すのは難しいかもしれません。
というより、タイトルを見なければ、それが表情だと分かる方が少ないでしょう。
しかし、松川さんの絵画は抽象絵画ではありません。
具象絵画でもありません。
それは、ただの絵画です。

ただの絵画で勝負するということは、絵画の本質、原点に挑むということです。
その資格、充分だと思います。
力のある色彩、時間を感じさせるタッチ。
独自の絵画空間。
表情の奥の奥にある、何かを、絵画として描ききっています。

ご高覧よろしくおねがいいたします。

2006年藍画廊個展