鷺克次展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 左から、作品サイズ73(H)×100(W)cm、 100×73cm、 130×130cmです。 作品タイトルはすべて「untitled」で、キャンバスにアクリルを使用しています。 |
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入口横右の壁面です。 八点のドローイングの展示で、ケント紙にアクリルを使用しています。 |
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左側の壁面です。 作品タイトル「Morning Bell」で、145×112cm。 キャンバスにアクリルを使用しています。 |
以上の十二点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに二点の展示があります。
左側壁面の「Morning Bell」です。
朝焼けの湖を描いた作品でしょうか。
水平線を境にして、対岸の山々が上下に対称形になっています。
絵葉書でよく見るような風景ですが、当然、それらとは異なった印象です。
実際の風景を描いたのではなく、作者のイマジネーションで造形された風景です。
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正面壁面の二点です。
左の作品は、平原に烽火(のろし)が二本上がっているように見えますし、水草のようにも見えます。
鷺さんに伺ったところ、特に具体的なイメージはないそうです。
右の作品は水辺を想像させますが、縦の太いラインは樹でしょうか。
右壁面の作品です。
水に映った樹木ですね。
展示の全体を見ると、水、樹木、森などがモチーフになっているようです。
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入口横右壁面のドローイングの一点です。 森の木々と草が描かれています。 描く部分と省略された部分、ポッカリ空いた中央の空間。 作者が風景に何を見ようとしているか、興味深いドローイングです。 |
水、樹木、草、森。
主なモチーフですが、これは癒しの絵画ではありません。
むしろ、それとは対極にある絵画です。
わたし達は、風景と対称になった水に映った風景を見ると、奇妙な感覚に陥ります。
一瞬、世界を把握したような気分になります。
世界の果て(折り返し地点)を見たような、高揚感に襲われます。
もちろん、それは錯覚ですが、見るという事柄に重要なヒントを与えてくれます。
常日ごろ、わたし達が見ている風景は、わたし達の立場で決定されます。
わたし達の身体に左右され、わたし達の思考に左右されます。
視点の位置と、風景をどのように見ているかで、風景の見え方は違ってきます。
風景と鏡像が同時に視界に映ると、その立場に揺らぎが生じます。
現実ではありえない、二つの同じ風景が存在するからです。
同じような経験を、わたし達は双子を見た時にも味わいます。
在りえない光景を、見たような感覚です。
見るとは、一体どのような行為なのでしょうか。
もしわたし達の立場を外したら、そこに見える風景はどうなっているのでしょうか。
鷺さんは、立場を微妙にずらして、風景の中に何かを見ようとしています。
風景の奥にあるモノを見ようとしています。
その見方は、確かです。
ご高覧よろしくお願いいたします。