藍 画 廊



ナカシマ ヒロエ展
NAKASIHIMA Hiroe


ナカシマ ヒロエ展の展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

左は、タイトル「3つ並んだ犬小屋」で、サイズは165.0×165.0cm。
右の四点は、「標識」で、サイズは各7.2×7.2cmです。
入口横右の壁面です。

左から、「ガードレール」、「トンネル」、「カーブミラー」で、サイズは各18.2×18.2cmです。
左側の壁面です。

左から、「ビニールハウス」で、サイズは24.0×24.0cm、
南ヲ進ンダトコロ」で、185.0×185.0cmです。


以上が画廊内の展示作品十点で、この他道路側ウィンドウに一点の展示があります。
作品はすべて、
和紙・岩料・銀箔・金箔を使用しています。


左側壁面の小品、「ビニールハウス」です。
金箔に描かれたビニールハウスですが、かなり簡略化されています。
左下の赤い三つの棒も、上から見た三棟のビニールハウスです。
これもディテールがほとんど省略されています。


左壁面の大きな作品「南ヲ進ンダトコロ」は、ナカシマさんの住まいから南へ進んだところの景色を描いています。
景色は写生したものではなく、記憶として残っているイメージを、実際の地理(空間)関係を無視して描いています。
鉄塔やトンネルや畑や道路が折り重なるように描かれていますが、これはイメージを平面に集積したものです。
「南ヲ進ンダトコロ」以外の展示作品は、上のビニールハウスの作品のように、イメージを個々に描いたものです。



正面壁面の「3つ並んだ犬小屋」です。
金箔の反射で見難いと思いますが、犬小屋が三つ並んでいるのがお分かりでしょうか。
小屋の間には餌用の容器とおぼしきものもあります。
これも、記憶の中のイメージだけで描いた作品です。

右側壁面の連作の小品四点のうち二点をご覧下さい。



左は「20キロ」という文字、右は「止まれ」という文字が読めます。
作品の共通タイトルは「標識」で、交通標識のことですね。
「20キロ」と「止まれ」は、道路に直接ペイントされた標識です。

次は入口横右の三点です。


頭の中のイメージ(記憶)としての、「ガードレール」、「トンネル」、「カーブミラー」です。
背景も風景ですが、おそらく畑や林ではないでしょうか。
主題(ガードレール等)と背景は、実際の位置関係と大きさなどが異なっていると思います。

普段何気なく見ている風景やモノを、記憶だけを頼りに描いたとしたら、このようになるでしょうね。


立派な金箔には「花鳥風月」が似合いますが、ここにあるのはナカシマさんの私的風景です。
このミスマッチはナカナカ面白い。
ナカシマさんの私的風景には、ナカシマさんが勝手に思い込んでいる部分もあって(だから私的風景なのですが)、同じ景色を日常としている人とは、微妙に重なったり重ならなかったりするはずです。
そのズレも、想像すると面白い。

ナカシマさんが描いている風景の中の事物は、わたし個人の興味に近いものがあります。
鉄塔やビニールハウス、標識などです。
風景の中にちりばめられた人工物、幾何、文字などですね。

ナカシマさんの記憶には、どうしてこのようなモノが印象に残るのでしょうか。
そして、それをなぜ描くのでしょうか。

おそらく、それらはナカシマさんと世界を繋ぐモノだからでしょう。
しかし、それらでナカシマさんが世界とシッカリ繋がっているかといえば、そうもいえない。
その辺りのアヤフヤさが、頼ったイメージのアヤフヤさと重なって、わたしの私的風景にも重なってきます。

ご高覧よろしくお願いいたします。



会期

2005年6月13日(月)-6月18日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内