福士朋子展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 左は、タイトル「Loci-5」で、サイズは184.5×162.2cm。 右は「Loci-6」で、184.5×162.2cm。 |
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入口横右の壁面です。 「Loci-8」で、162.0×130.3cmです。 (左の作品は上の画像右の作品です。) |
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左の壁面です。 左は「Loci-7」で、203.0×183.0cm。 右は「Loci-16」で、27.3×22.0cmです。 |
画廊内の作品は以上の五点で、その他道路側ウィンドウに二点、芳名帳スペースに六点の小品が展示されています。
使用画材はパネル・綿布・顔料・オイルパステル他です。
展示作品を数点ご覧いただきます。
左壁面の大作「Loci-7」です。
各作品のタイトルに付けられている「Loci」とは、ラテン語で場所を意味しています。
上空から俯瞰したような風景に見えますが、実際福士さんのイメージもそこから出発しているそうです。
正面壁面の「Loci-5」です。
作品を大まかに分けると、「地」と「図」になります。
「地」は筆で描かれていますが、「図」はスクラッチ(引っ掻く)したり、ドロー(線を引く)したように見えます。
福士さんのお話では、イスやテーブルに使うキャスターやコーヒーカップに絵具を塗って描いたりしているそうです。
又、描画の順序は「地」が先で「図」が後ですが、作品の進行につれて区別なく描画していくそうです。
右壁面の「Loci-6」です。
上の二点は青系の色彩でしたが、これは黄系です。
作品を形成しているのは色と形ですが、土台となっているのは「地」の色彩に思えます。
この色彩がシッカリしています。
美しいだけでなく、色同士に繊細な連続性があります。
地球が一番美しく見えるのは、遠い宇宙から見た地球です。
喩えるなら、作品の「地」はその地球の地表の美しい連続性です。
スクラッチ、ドローした線は、「地」と分離しているようでいて、一体にも見えます。
その関係から生みだされた空間(層)が、福士さん自身の世界地図(パノラマ)ではないでしょうか。
地図を良く見ると、抽象的な図柄の中に細い線でヒコーキが描かれています。
空を自由に飛び回るヒコーキと地図。
特異な技法はあくまで技法であって、作品で特筆すべきは、やはりこの独自な空間です。
絵画の中で層として存在しているような、唯一無二な空間。
それが地図の実存を確かで、リアリティのあるものにしています。
道路側ウィンドウの小品「Loci-4 」です。 サイズは、27.3×22.0cm。 小さな地図には大きな地図とは違った、趣があります。 ダイナミズムとは異なる、局所的な眺めです。 中央の赤い形はヒコーキでしょうか。 緑黄系の背景に、鮮やかな機影です。 ご高覧よろしくお願いいたします。 |
福士朋子Webサイト「少女画帖」(福士さんのFAXマンガサイト)