金井聡和展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面方向です。
右側と入口横右の壁面方向です。
左側の壁面方向です。
壁面に展示されたもの、台座に置かれたもの、床置きのもの、すべて陶の作品です。
画廊内の展示作品は二十六点で、その他に道路側ウィンドウと芳名帳スペースに各一点の展示があります。
作品にはすべて「花石」というタイトルが付けられています。
それでは、作品を何点かご覧いただきます。
台座に置かれた楕円の作品。
一見すると石(大理石)のような質感で、表面に無数の花びらのようなものが描かれています。
花びらが散って石の上に積もり、一夜開けたら花びらが石に封じ込められた。
そんな、感じを受ける作品です。
壁面の小さな作品。
この作品の質感は、石のようでもあり、木のようにも見えます。
本展のサブタイトルは紅柄陶衣(ベンガラスエゴロモ)です。
紅柄はインドのベンガル地方で産出された黄み帯びた赤色顔料です。
作品の下地の色がそれで、制作過程の調整で濃淡、色相に変化をつけています。
上の小さな作品は紅柄が濃くでた作品です。
楕円を切断したような台座の上の作品。
濃淡、色相の違いが、美しい作品です。
陶衣(スエゴロモ)は文字通り、陶の衣という意味です。
壁面に展示された白い筋目のついた作品。
衣は、この作品では花びらを包み込んだ繭(まゆ)にも見えます。
白い筋目越しに見える花びらの模様が印象的です。
床置きの二点です。
対照的な表情を持った作品ですが、どちらも「花石」ですね。
花は植物(有機物)で、石は無機物です。
命あるものが散って、石に抱かれる。
世の常ならぬことを表現しているようで、この作品にはその先があるように思えます。
衣(繭)は一つの宇宙であり、大きな宇宙と連動して存在しているのかもしれません。
そう思って見ると、無造作に展示されたような作品群の全体像がまったく異なって見えます。
禁欲的でありながら、華やかな空間。
これは陶だからこそ表現できた作品ではないでしょうか。
ご高覧よろしくお願いいたします。