根本美恵展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、タイトル「細い足」で、サイズ841×594mm、
「塔」で、1455×9700mm、
「ふりむいちゃった」で、725×990mmです。
入口横右の壁面です。
左から、「ブリキのコップ」で、841×594mm、
「器」で、600×600mmです。
左の壁面です。
左から、「格子の向こう」で、1455×1120mm、
「格子の向こう」で、12× 9mmです。
(右の角の壁面に点のように見える、小さな小さな作品です。)
以上画廊内は七点の展示で、その他に道路側ウインドウに一点の展示があります。
使用しているのは、ベニヤ・麦茶・アクリル塗料・岩絵具・膠です。
(「細い足」のみ ベニヤ・麦茶・アクリル塗料・岩絵具・膠・墨)
前回個展同様、素(す)のベニヤ板に描いた平面です。
今回はより絵具の使用が減って、ボンヤリ見ているとほとんどベニヤ板だけの展示に見えます。
絵具に替わって主要な画材になっているが麦茶(!)です。
麦茶で描いた絵画。
それはどんなものなのでしょうか。
左壁面の「格子の向こう」です。
この画像ではほとんどベニヤ板そのものですね。
近づいて見ると、うっすらと濃淡が付いているのが分かります。
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左壁面の角で点のように見えた「格子の向こう」です。 12mm×9mmの小さな小さな作品です。 下半分とそこから延びたような三本の線が、(主に)麦茶で描かれているようです。 意外にも、もっとも絵画らしく見える作品です。 |
次は正面の左側の「細い足」です。
中央の縦のラインが「細い足」でしょうか。
コントラストが比較的高い作品で、一般的な絵画として認識しやすいのですが、ボンヤリ見ていればただのベニヤ板です。
今回の展示は集中力を要する作品ですが、じっと見ていると包み込まれるような柔らかさと透明感を感じてきます。
右側壁面の「ふりむいちゃった」です。
根本さんらしい空間を持った作品で、個人的には一番印象に残りました。
なぜ根本さんは麦茶で描いたのでしょうか。
ベニヤ板に水を垂らすと、しばらくはその痕跡が濃い染みとなって残ります。
しかし時間の経過と共に水は蒸発し、板は元の状態の戻ってしまいます。
根本さんはその濃い染みを残す方法を考えました。
そこで行き着いたのが麦茶で描く方法です。
水と違って、麦茶の染みは定着してその痕跡を残します。
根本さんの作品の根底には「水」があります。
板に水で描く。
木と水の絵画は、その表面の奥に画像を結びます。
板の表層の向こう側に、豊かな木と水の世界が像を結んでいます。
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入口横右壁面の「ブリキのコップ」。 木目に染み込んだ水の濃淡が描いた世界です。 ご高覧よろしくお願いいたします。 |