なるほど、トウフの家ですね。
(タイトルを見ないで作品を拝見したときは、角砂糖が並んでいると思いました。)
何故トウフの家が並んでいるのでしょうか。
画廊には小林さんの記した「作品について」も展示されています。
ちょっと長くなりますが、全文を掲載させていただきます。
作品について
画廊の作品は、すべて物語で繋がっています。
ただし、その物語は結末のあるようなものや、おとぎばなしのような物語ではありません。
始まりがあるわけでも終わりがあるわけでもなく、けれどずっと続いている。
わたしの記憶の中にあるもう一つの世界、普段は見えないけれども、時々ぼんやり見えてくるような、絵として見える存在。
そして、そこに登場するモチーフや生き物、光や水、さらに情景はある言葉(意味)をもち、わたしの世界の住人です。
そこに私自身は存在せず、すべてはその住人が私の代弁者なのです。
住人達は光や空間に包まれて私の記憶と共に生き、日常とは別の、日常のすぐ近い扉の向こう側に見えています。
私はそれを時々垣間見て、不確かな自分を確認しています。
私は大変不安定な存在です。
しかし、日常の時間は正確に押し寄せてきて、私を呑み込んでいきます。
私は時々息苦しくなったり、心地よくなったりしながら、
その日常との境目を行き来して、
水中の生き物のようにその流れを感じています。
最初は息苦しかったその流れも、
今ではその揺れ動きを、少しは楽しめるようになったかもしれません。
ずっとあるはずのものが突然なくなったり、急に別のものが現れたりする。
変わらないで欲しいのに変わってしまう。
変わったからといって良いわけでもなく、
そのうえ曖昧で確かではない。
得体のしれない何かに動かされて、知らぬ間に物事が決まっていく。
それでも幸せを捜したい。
まだまだ私には理解できないことがたくさんあるようです。