藍 画 廊


小林正明展
'OPEN AIR'
KOBAYASHI Masaaki


小林正明展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。



左から、タイトル「
水模様」で、サイズ90.9×116.7cm、
「散歩〜スカイピア〜」で、116.7×90.9cm、
「束の間」で、60.6×72.7cmです。



入口横右の壁面です。
「平和な構図」で、80.8×100.0cmです。



左側の壁面です。
左から、「開かない扉 」で、65.2×80.3cm、
「トウフの家」で、130.3×162.1cmです。

以上六点の平面作品の展示で、すべてキャンバスに油彩を使用しています。
展示作品のうち一番大きな「トウフの家」をご覧いただきます。



なるほど、トウフの家ですね。
(タイトルを見ないで作品を拝見したときは、角砂糖が並んでいると思いました。)
何故トウフの家が並んでいるのでしょうか。
画廊には小林さんの記した「作品について」も展示されています。
ちょっと長くなりますが、全文を掲載させていただきます。


作品について

画廊の作品は、すべて物語で繋がっています。

ただし、その物語は結末のあるようなものや、おとぎばなしのような物語ではありません。
始まりがあるわけでも終わりがあるわけでもなく、けれどずっと続いている。
わたしの記憶の中にあるもう一つの世界、普段は見えないけれども、時々ぼんやり見えてくるような、絵として見える存在。

そして、そこに登場するモチーフや生き物、光や水、さらに情景はある言葉(意味)をもち、わたしの世界の住人です。
そこに私自身は存在せず、すべてはその住人が私の代弁者なのです。
住人達は光や空間に包まれて私の記憶と共に生き、日常とは別の、日常のすぐ近い扉の向こう側に見えています。
私はそれを時々垣間見て、不確かな自分を確認しています。

私は大変不安定な存在です。
しかし、日常の時間は正確に押し寄せてきて、私を呑み込んでいきます。
私は時々息苦しくなったり、心地よくなったりしながら、
その日常との境目を行き来して、
水中の生き物のようにその流れを感じています。
最初は息苦しかったその流れも、
今ではその揺れ動きを、少しは楽しめるようになったかもしれません。

ずっとあるはずのものが突然なくなったり、急に別のものが現れたりする。
変わらないで欲しいのに変わってしまう。
変わったからといって良いわけでもなく、
そのうえ曖昧で確かではない。
得体のしれない何かに動かされて、知らぬ間に物事が決まっていく。
それでも幸せを捜したい。

まだまだ私には理解できないことがたくさんあるようです。



作品の部分を撮影して、任意に並べてみました。
作者の日常のすぐ近い扉の向こう側に見えているものです。

日常の時間の隣にあって、それとは別に存在している意識の中の時間。
その間を行き来しながら、何とか日常に流されないように泳ぐ。
生活や人生はそのようなものであり、その中で幸せを捜すわたし達。

絵画とは、始まりも終わりもない物語のような世界なのかもしれません。
確かなのは、それ(物語)がずっと続いていることです。
ご高覧よろしくお願いいたします。

2002年藍画廊個展



会期

2004年9月13日(月)-9月18日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内