藍 画 廊


沖葉子 写真展
Oki Yoko
時間の途上から


沖葉子写真展の展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左の二点は、サイズ72.5×90.0cm。
右の三点は、31.5×38.2cm。

展示作品はすべて、タイプCプリント+アルポリックです。
入口横右の壁面の作品です。
サイズ44.7×54.6cm。
左側壁面です。
左の一点は、35.2×42.9cm。
右の五点は、27.9×33.9cm。

以上の他、道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに一点の展示があります。


それでは、展示作品をピックアップしてご紹介いたします。
入口横左の壁面の作品です。



海に浮かぶ海底ボーリングの機械でしょうか。
展示作品の撮影場所はすべて東京湾の有明です。
お台場の近所で、東京ビックサイトなどがある開発中の地域です。
ロケットのように空を向いている、機械の色とカタチが美しい作品です。
上下対称になった海面の映り込みが良いですね。



左側壁面の作品五点のうちの二点です。
これも海景です。
遠くに見える「ゆりかもめ」のラインは淡いブルー。
陽炎(かげろう)のようです。



正面の壁面の左側の作品です。
対岸の工事風景とこちら側の雑草が対照的です。



右側壁面の中央の作品です。
工事用の柵に囲まれた場所です。
電線をまとめて地中に導いているパイプの黄色が印象的です。



入口横右の壁面の作品です。
建設中の高速道路。
空に描かれた淡いブルーの直線が、途中で途切れています。

展示作品の写真は全体に光がオーバーになっています。
カラー写真ですが、コントラストが低く、色彩が沈んでいます。
これは作者の意図で、撮影、現像、焼付けの過程でそのようにしたそうです。

映っているのは「殺風景」な風景です。
東京で、湾岸の埋立地ほど「殺風景」な場所はありません。
ここには土地の歴史がなく、生えているのは雑草ばかり。
なぜ、このような「殺風景」な場所を選んだのでしょうか。

社会的な視点?
どうも、違うようです。
このような「殺風景」な場所にも見られる人の営みの、意図せぬ美しさに作者は魅かれたような気がします。
開発中(建設中)という中途な時間の儚(はかな)さに魅かれたような気がします。
沈んだ色彩の美しさに、それが表れています。
灰色の空と灰色の海の中で、ヒッソリと控えめに表現されている繊細な色やカタチ。
あるいは、灰色の道路や土に立っているありふれた工事用具。
その繊細なカタチや色。
そして、唯一の生物である雑草の存在。

何も無い「殺風景」な場所と仮で途上の時間の美しさ。
逆説でもない発見でもない、素直な視線だけが描きうる風景です。


道路側ウィンドウの作品。
廃材とショベルカーの色の対比に眼が行きました。


ご高覧よろしくお願いいたします。

会期


2004年5月24日(月)-5月29日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内