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藍 画 廊


小日向千秋
Composition - Blue and White -
Kobinata Chiaki


小日向千秋展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面方向の展示です。

本展は画廊空間全体を使ったインスタレーションで、通常の壁面ごとのご紹介では分り難いかと存じます。
今回は、ランダムに撮影した作品の部分の画像をご覧いただきます。



空間にドローイングしたような白いラインは鉄製で、床と壁は塗料で青く塗ってあります。
壁面の一部には、空と雲の写真をインクジェットでプリントした画像があります。
画廊の入口から道路側の入口に向かって、蛇行した観賞用の通路が設けられています。
鑑賞者は作品の中に入って、作品を観る(感じる)ことができます。

ここで、プレスリリース用に小日向さんが書いたテキストをご覧いただきます。

Composition - Blue and White -

私は昨年までの2年間を北欧のフィンランドで過ごした。
2年という滞在期間中に多くの経験を得たが、今回の展覧会ではその中でも深く印象に残っている「青と白」という2つの色をテーマに作品を展開しようと思う。
青と白はフィンランドの国旗にも使われている国のアイデンティティカラーでもある。
余談ではあるが、フィンランド独立時に、国旗の色として国章の色である赤と黄色という案もでていたらしいが、国民投票の末僅差で青と白に決まったらしい。
外国人の私としては、フィンランドという国を表現するにおいて、やはり青と白のほうがより似つかわしいように感じる。
それほどまでに、フィンランドの青と白は美しいのである。
フィンランドは極北の地であるから、冬は当然雪と氷に覆われる。
どちらを向いても真っ白だ。
日の短い冬の日には、午前も遅くなってようやくうっすらと明かりがさしてくる。
日の出前のうす青い光が透明感のある白い雪と氷を映し出す様はなんとも幻想的で、身の引き締まる寒さとあいまってこの世のものとは思えないような不思議な空気に包まれる。
そして数時間後には再び世界は青く沈んでいくのである。
また、夏は夏で冬とは異なる青と白が溢れる。
清々しい緑ももちろん美しいのだが、青い空と海や湖の美しさは心洗われるものがある。
公害のない真っ青な空には白い雲が流れ、海や湖の表面は太陽の光を受けて白くキラキラとかがやく。
波のない静かな水面を静かに走る白い船の姿もまたフィンランドらしい風景の一こまである。
フィンランドの青と白は透明である。
透明であるが圧倒的な存在感がある。
この、一見相反するような要素をひとつの空間に表現するために、背景を青とし、そこにワイヤーフレームからなる白いメンブレンを思わせる構造を重ねてみようと思う。
これは単にフィンランドの風景を切り取って再現するものではない。
フィンランドの国土は平たんで全くと言っていいほどに起伏に乏しい。
静かな、どこまでも見通せる平らな岩盤の地である。
しかし、その土地の持つ力は、圧倒的な自然となって都会育ちの私に襲いかかってきたのである。
静かで、透明な青と白の力がそこにはあった。
その、青と白から構成される繊細ながらも私たちを包み込む大きな力を、この空間のなかに表現しようと思う。



フィンランドは、北欧の美しい自然の土地です。
(個人的には映画監督アキ・カウリスマキとLinuxのリーナス・トーヴァルズも想起させます。)
寒さの苦手なわたしですが、テキストを読むと行ってみたくなるような自然ですね。

そのフィンランドの、人間を包み込むような大きな自然の力。
静かで、透明な青と白に表象される大きな力。
テキストで小日向さんも記していますが、このインスタレーションは単にそれを再現するものではありません。
大きな力の存在と意味を感じ、思考する試みだと、思います。

ご高覧よろしくお願いいたします。


会期


2004年4月26日(月)-5月8日(土)

<会期中は日曜、祝日も開廊いたします。>

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内



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