平田星司展の展示風景です。
(今回は所用により搬入時の撮影になりました。展示後の画像は平田さんのご友人の撮影によります。ご了承下さい。)
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画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 右の作品は、 タイトル「紙の家2」で、 サイズは41.0×51.5×22.5cm。 棚、布、紙にエナメルペイントです。 |
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正面の壁面です。 左から、 「その手の話(言葉が砂の粒)」で、 68.0×91.0cm。 油彩、顔料、ビニールエマルジョン、ボードの上にキャンバスです。 |
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入口横右の壁面です。 「St.Dunston,England2,4」で、 10.5×16.0cmの写真が六点です。 (写真には英語による点字が打たれています。) |
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左側の壁面です。 左から、 「その手の話(Mayya)」で、 68.0×91.0cm。 油彩、顔料、ビニールエマルジョン、ボードの上にキャンバスです。 右は「St.Dunston,England3」で、 10.5×16.0cmの写真が三点です。 (写真には英語による点字が打たれています。) |
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道路側ウィンドウに展示された作品です。 「On Object」で、 41.0×47.0×20.0cm。 オブジェの上に黒鉛、顔料、ビニールエマルジョン、棚です。 |
以上の画像のうち、左側壁面以外の四点は平田さんのご友人に依頼して撮影していただいたものです。
以下は搬入時にわたしが撮影したものです。
展示前の様子も一部含まれていますので、メイキングとしてお楽しみいただけたら幸いです。
展示位置を思案中で、壁面に立て掛けられた平面二点。
最終的には正面の壁面に左右を入れ換えて展示されました。
画面の手形は指文字(日本語)です。
手話は両手と共に上半身全体を使った言語表現ですが、固有名などを補うために指文字があります。
作品に指文字で描かれた言葉の断片をご紹介します。
左:マーブルは弾けたほこりは散る
右:言葉が砂の粒になり舞い上がる 沈黙は見た
左側の壁面の「その手の話(mayya)」です。
こちらは英語の指文字です。
描かれた言葉は、
MAYYA WATER MIZU *mayyaはアラビア語の“水”
同じ文字、例えば「M」「A」「Y」を見ると同じ手形であることが分りますね。
右側壁面の、「紙の家2」です。
写真作品の「St.Dunston,England」シリーズの一点です。
St.Dunstonはイギリス南部ブライトン近くにある盲人のための施設です。
1994年に平田さんはこの施設に訪れています。
施設(病院)は主に戦争で視力を失った男性、女性達が滞在しています。
平田さんは点字の初歩を習うためにここを訪れ、後にその時の印象を大きな写真に点字で打っています。
今回のシリーズはそのテキストを抜粋、修正、加筆して写真に刻印しています。
その結果、九点の写真には同じテキストのものはありません。
「その手の話」は慣用句として使われますが、平田さんの「その手の話」はズバリ、手の話なんですね。
「That Hands of Story」です。
手が物語り、手が読み取る、お話です。
一枚の写真、あるいは一枚の絵。
視覚が記号として読み取る風景や事物の中に、本当の物語は潜んでいるのかもしれません。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2001年藍画廊個展