内海聖史展の会場風景です。
画廊入口から見て、画廊の正面と右側の壁面の方向です。
多分この画像では作品の展示がどうなっているのか分らないと思います。
説明しましょう。
画廊内の作品は一点です。
タイトル「眼前の黒」で、綿布、パネルに油彩です。
サイズは、290(H)×570(W)cm。
横6メートル弱の大作が、ほぼ四角の画廊空間の対角線上に設置されています。
対角線は一方の角から他方の角まで隙間なく作品ですから、向こう側(作品の裏側)には行けません。
今度は反対側(道路側入口)からの画像です。
左側の壁面の切れた四角が画廊の入口です。
鑑賞者は対角線で仕切られた、この片側の狭い空間から作品を見る事になります。
喩えてみれば、大スクリーンの映画館の一番前の席で映画を観ているような気分です。
スクリーン(作品)以外は眼に入らないポジションですね。
実際どんな感じか、作者の内海さんに作品の前に立ってもらいました。
絵画の壁、つまり絵画の祖先である壁画に近い作品です。
でも敢えて壁に直接描く事をせず、パネルに綿布を張った平面作品として展示しています。
それは、壁画の依拠する場所の問題と平面の可搬性(持ち運べること)を同時に思考した結果と思われます。
作品の全体像をお見せできませんので、部分を何カットかご覧いただきます。
床に近い部分です。
円形が無数に描かれているのがお分かりと思います。
全体の九割近くは黒の円形ですが、作品に暗さはありません。
黒の円を透かして多彩な色が浮かび、その景は豊饒な色彩の海(森)を連想させます。
ディティールのクローズアップです。
葡萄の実のような円が幾重にも描かれ、その隙間から見える光が色彩を生んでいるかのように見えます。
天井付近のショットです。
画面で最も白い部分が多い箇所です。
薄い緑や墨の円が画面に奥行きを作っています。
展示の特異性に比べると、オーソドックスな描画といって良いと思います。
無理矢理絵を鑑賞させるような展示でありながら、そこに不快感は微塵もありません。
眼前に拡がる色彩と形が奏でるパノラマ(景)。
その只中に身を置いた心地良さ、それは作者が至近距離で絵を描く過程で感じる快(喜)と同一かもしれません。
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左は道路側ウィンドウに展示された「犬の眼」で、20×20cm。
右は芳名帳壁面に展示された「頭上の色彩」で、5×5cm。
画廊内の超大作と、5cm角の小さな小さな作品。
適度がなくて、過剰でありながら、しかも清涼で豊潤な作品達。
ご高覧よろしくお願いいたします。
会期
2003年9月15日(月)-20日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内
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