富田勝彦作品展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
パネル(1720×820mm)四枚一組で一つの作品を形成しています。
(パネルは襖の寸法を意識したサイズです。)
各作品には東西南北の方位が設定されています。
正面壁面の作品は(西)にあたり、右側壁面の作品は(北)にあたります。
描かれているのは蓮の花と葉ですね。
蓮は紅蓮のようです。
右側と入口直ぐ右(東)の壁面です。
葉の色が方位によって違うのがお分りでしょうか。
壁面の角の床には布に包まれた機器が置かれています。
これは音源で、会場には静かな音楽が絶え間なく流されています。
左側の壁面です。
こちらは(南)にあたります。
この他、道路側ウィンドウにも(南)の連作が一点展示されています。
作品はすべて、パネルに綿布、アクリル、特殊蛍光塗料を使用して制作されています。
画廊の中央に立つと、あたかも蓮の池の中にいるかのようです。
富田さんのお話では、古来日本では蓮池に桟敷を設えて、酒食を供にしながら蓮を愛でる遊びがあるそうです。
優雅ですねぇ。
自然と人間の関係が、実に優雅だと思います。
もう少し作品に近づいてみましょう。
(東)の作品です。
葉が陽を浴びて明るく輝いています。
(画像の中央部が光っていますが、それはフラッシュの反射で実際はフラットな画面です。)
こちらは(南)です。
(東)と陽光が違いますね。
蓮の花は、深夜に開花し午前中に閉じ、四日で落ちるそうです。
月の光を浴びて開花する蓮の花、どんな様子なんでしょうか。
画廊のスポット照明を落としてみると・・・・。
月光と開いた蓮の花です。
こちらは(東)ですから月の光が強く、星は見えません。
反対側の(西)では無数の星が輝いています。
富田さんの表現の核には、ヒトの「絶対感覚」があるそうです。
人間が生存に必要としていた本来の感覚のことだと思います。
例えば、光の微妙な違いを感じ取る感覚。
蓮の葉は、方位によって陽光を透かしたり、反射したりします。
それを科学で解析するのはさほど難しくはないと思います。
しかし(今のわたし達にとって)、それを身体で感じることは意外に難しいのかもしれません。
御高覧よろしくお願いたします。
作家Webサイト
http://www1.odn.ne.jp/cbj77250/
会期
2003年6月30日(月)-7月5日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内
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