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「オンライン・ミュージック」


オンライン・ミュージックはインターネット(WWW)からダウンロードして、あるいはストリーミングで聴く音楽です。
メインは商用オンライン・ミュージックサイトですが、非営利のサイトもあります。
その代表的なサイトが
Internet Archiveです。
Internet Archiveは、その名の通りインターネットの図書館で、コンテンツのAudio(Live Music Archive)に18,000に及ぶコンサートの録音がアップロードされています。
下はLive Music Archiveのトップページの画像です。



Live Music Archiveの趣旨と概要が記されています。
コレクションの主体はetree.orgというコミュニティのようですね。
要約すると以下のようになります。
アーティストが容認している私的コンサート録音を、losslessでダウンロードが可能です。
私的録音を容認しているアーティストは、そのテープのトレード(交換・配付)も基本的に認めています。
ただしトレードは非営利に限定されます。

losslessは圧縮された音楽を元に戻す(伸長する)ことが可能なファイル形式のことです。
通常オンラインにアップされている音楽は、圧縮されたMP3、AAC、WMAなどのファイル形式です。
オンラインでの流通やハードディスクの節約を考慮して、約10分の1に圧縮された形式で、元には戻りません。
losslessも約半分に圧縮されていますが、こちらは専用ソフトを使えば元に戻ります。

圧縮は情報の間引きです。
人間の耳に聞えないとされている音や、間引きしても気にならない音を削除して容量をセーブします。
ところが、楽曲によっては音が不自然になったり、そうでなくても全体に痩せた音になります。
簡単にいえば、本来の音とは違う劣化した音質です。

losslessは圧縮率が低いので、そのままで聴いてもMP3等よりも高音質ですが、伸長すればCDとまったく同じ音質になります。
(通信環境が許すならば)losslessをダウンロード、伸長して、自然な音で音楽を楽しむことをお薦めします。

晩秋(初冬)の夜長、グッドミュージックをダウンロードしてCDに焼き、ついでにアルバムジャケットも制作してみませんか。
まずはアーティストの選択です。
上の画像のリンク、「Browse bands in the Live Music Archive」をクリックして下さい。


数多くのアーティスト(バンド)が掲載されていますが、左はそのごく一部をトリミングしたものです。
カッコ内は録音されたコンサートの数です。

わたしのお目当てはGrateful Deadです。
2774のコンサート録音がアップされていますね。
もちろん最多ですし、Grateful DeadはLive Music Archiveを象徴するアーティストです。
(音楽に対する自由な考え方と、音楽の質において。)

それでは、Grateful Deadをクリック。


クリックすると、Grateful Deadの年度別アップロードのリンクのページにジャンプします。
ページには、最も多くダウンロードされたショー(コンサート)と、最新アップロード・ショーへのリンクも載っています。
どのショーをダウンロードしていいか分からない時は、まず最多ダウンロードショーを選択するのも方法です。

ここでは1985年をクリックし、その中の4月27日のショーを選択、クリックしてみました。
基準は、ダウンロードしたユーザーの評価と曲目リストです。
ユーザーの評価はレイティング(五つ星が満点)とレビューです。



1985年4月27日のショーのページの一部です。
コンサート会場はカリフォルニアの
Palo Alto。
上の画像ではカットされていますが、当然全曲目が載っています。

さて、losslessのファイルは
Shorten ZIPと記されたフォーマットです。
ショーを一括ダウンロードする場合は、Whole ShowのShorten ZIP/965.7Mをクリックすればダウンロードが始まります。
その前に試聴したい場合は、VBR MP3の適当な曲を選択してクリックすれば、ウィンドウが変わってプレイになります。
録音状態などをチェックするには良いですね。

losslessを選曲してダウンロードするには、面倒でも選択した曲のShortenをダウンロードし続けます。
(選択したファイルをまとめてダウンロードするソフトもあるそうですが、未確認です。)
ショー全体のファイル容量は965.7Mバイトです。
ブロードバンド環境で1時間以上はかかります。
(残念ながら、ダイアルアップの場合は非現実的なファイル容量です。)
何といってもコンサート丸ごとで、CDに焼くと三枚にもなるのですから致し方ありません。
その間は、風呂にでも入るか、読書や他の用事を足していて下さいね。


Grateful Deadのバックステージパスです。
関係者に配られるパス(通行証)のことですね。
1984年4月20日のコンサートのものです。

この画像の入手は、まずダウンロードページの左にあるResourcesの覧のDead Lists をクリックします。
サブウィンドウが開きますから、そこのtickets, passes & laminatesをクリック。
現れたチケットやパスの画像をダウンロードします。
画像はジャケット制作で使用します。


チケットも二枚ご覧下さい。



長い風呂から上がって、ビールを飲んでいたら、ダウンロードが完了しました。
zipの伸長はOSが勝手にやってくれるはずです。
ダウンロードしたファイルの拡張子はshnになっていますね。
このshnを伸長して、FIAA(Mac)かWAVE(Windows)に変換して、CDに焼きます。
同じ上のページの左の中ほどにHelp with downloadsがありますから、そこで学習して、伸長、変換ソフトをダウンロードします。
Macの場合はここからダウンロード、Windowsはここからです。
うまくいかない場合はHelp with downloadsを良く読んで、再度トライしてみて下さい。
(Live Music Archiveのlosslessには FLAC形式もあります。これも専用ソフトで伸長・変換するのですが、わたしのMacOSXの場合、エラーが出てしまいます。OSとソフトのヴァージョンがあっていないようです。)

ここではMacの場合を説明しますが、使用するソフトはShortenで、ダウンロードして起動すると簡単な設定があります。
後はshnファイルをShortenのアイコンにドラッグ&ドロップするだけ。
自動的にFIAAファイルが指定した場所に生成されます。
(ここで注意するのは、ファイル名が曲名とは異なることです。この時点か、後でリネームしましょう。)

ライティングソフトでCDに焼けば終わりですが、問題は三枚分の楽曲をどのように分けるかですね。
ダウンロードページの楽曲の下にInformationの覧があります。
ここのTextをクリックすると、三枚のCDに分けた曲目リストが表示されます。
親切ですね〜。
痒いところに手が届くような、配慮です。
なお、連続したライブ音源をCDを焼くときは、設定で曲間をゼロにした方が自然になります。

さぁ、CDが焼き上がりました。
さっそく聴いてみましょう。


オープニングは「Dancin' in the Streets」。
モータウンのMartha and the Vandellasのカヴァーです。
ヴォーカルとギターのリフがカッコ良いですね〜。
三曲目の「Little Red Rooster」はWillie Dixonのブルースナンバーで、ガルシアのディープなギターが耳に残ります。
初期のStonesのカヴァーが有名で、わたしもそれで知った曲です。

Grateful Deadはオリジナルも良いですが、カヴァーも秀でています。
この日のセットではDylanのカヴァーも演奏しています。

Grateful Deadは1965年にスタートしたロックバンドで、1995年リーダーのジェリー・ガルシア(ギター・ヴォーカル)の死去で解散しています。
30年に渡って、ライブをメインに活動してきたバンドです。
その音楽はロックというカテゴリーを超えた、アメリカンミュージックと呼ぶのに相応しい、多様さと深さがあります。


わたし自身は、機会を逸してリアルタイムのGrateful Deadをほとんど聴いていません。
Live Music Archiveの音源で、その音楽のルーツの豊かさ、ダイナミズム、繊細さに接しています。
ジェリー・ガルシアのギターを中心にしたバンドのコラボレーション。
各自が自由にやっているようでいて、バンドとして独自のグルーヴがあります。
それが特に発揮されたのが、彼らが活動の中心にしたライブ演奏。
無料で多くのライブレコーディングが聴けるのは、何とも幸せなことです!
(その御礼は、Grateful DeadのオフィシャルCDを買うことですね。)

Live Music Archiveのもう一つの個人的注目バンドはLittle Featです。
こちらもジャンルを超えたアメリカンミュージックですが、アーシーで骨太なバンドです。
1973年4月10日1974年9月19日のFMスタジオライブは演奏、音質とも文句なしです。
若くして死去したローエル・ジョージのギターとヴォーカルを、ここで存分に聴くことができます。
アコースティックな「Willin'」は70年代を代表する名曲。

気が付いたら、とても長いページになってしまいました。
ジャケット制作はライティングソフト付属の機能を使えば簡単にできます。
アートワークはダウンロードしたチケット、パス、ポスターを使って下さい。
もし適当なソフトがない場合は、iTunes(Mac/Windows)が便利です。

アップロードされている音源はアマチュアかセミプロの録音です。
市販CDと遜色ない音質が多いのですが、テープの入れ替えやアクシデントで、稀に音が途切れたりノイズが入っていることがあります。
ライブの臨場感と思えば気になりません。
それでは、長い夜をお楽しみ下さい。