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渡辺寛展/西瓜糖


中央線阿佐ケ谷駅で降りて北口に出ると、欅(けやき)並木の道路が見えます。
通称中杉通りです。
この通りを北に三分ほど歩いたところに西瓜糖があります。
西瓜糖はギャラリーを併設した喫茶店(今風にいえば、カフェ)です。

京橋の
藍画廊で渡辺寛展を開催中ですが、ここ西瓜糖でも同時開催しています。
それでは、店内に入ってみましょう。



入口から見て左側の壁面に作品が展示されています。
作品が展示できる壁面は右側にもありますが、今回は左側の一点だけで構成されています。
右側の壁面は上の小さな写真に写っていますのでご覧下さい。
(客席を挟んで、右側壁面と左側壁面はほぼ対称になっています。)
作品に近づいて見ます。



サイズは760(W)×510(H)mmで、R-Type Printです。
藍画廊のビルの作品や黄色の作品と同じく、厚手のアクリルで写真がサンドイッチされています。
この額装は写真と一体となって、作品の一部になっています。
さて、何が写っているのでしょうか。
マーブル(大理石)に何かが映り込んでいるようです。

渡辺さんに訊いてみると、ビルの前の模造大理石のプランターに映り込んだ風景を撮った写真だそうです。
映っているのもビルのようです。
少し距離をとった店内の大きい写真で見ると何となく分かりますね。
白っぽく映っている部分とその左はビルに見えます。

美しい作品です。
模造大理石の艶のある赤い色が、靄(もや)のような白との重なりあって重層的な画面になっています。
色が美しい作品です。
石の模様はクラシカルですが、作品全体のモダンな空気に上手く嵌め込まれています。
藍画廊の渡辺寛展の御案内でも書きましたが、この額装の作品はフラットな立体の趣もあって、写真であることを忘れてしまいます。

前述しましたように、作品はこの一点だけです。
この一点だけで、西瓜糖が渡辺さんの空間になっています。
お確かめ下さい。


さて、ここで西瓜糖の御案内もさせていただきます。
まずは入口から。


ガラス張りのファサードです。
ドアを開けると、ロの字型の照明装置を上部にもつオブジェが目に入ります。
これが、西瓜糖の顔ともいえる部分です。
このオブジェは照明とマガジンスタンドを兼ねています。
店外と店内の床は段差の無い、フラットな構造になっています。
これも特徴です。


実をいえば、西瓜糖はわたしと妻が1979年に開業したお店です。
(知っている人は当然知っている事実ですが。)
わたしと妻が15年経営し、今は大町夫妻が経営しています。
お店のメニューは変わりましたが、基本的な性格は変わっていません。
カフェ&ギャラリーです。
それも、現代美術のギャラリーです。


客席です。
モノトーンで、テーブルはステンレス、床はゴム張りです。
モダンですね〜。
これが、1979年当時と全然変わっていません。
その当時いかにモダンであったか、御想像がつきますか?
モダンすぎて、開店したての頃はお客さんが入ってきませんでした。

西瓜糖の内装デザインは清水まことさん(dis house)です。
清水さんの傑作デザインです。


西瓜糖は店が客を選んでいるように見えて、その実多様なお客様がお出でになる店です。
お客様の層が特定のジャンルに偏っていません。
現代美術とは縁のなさそうなお客様も来店されます。
そこが又、西瓜糖の面白さです。

ガラス張りでモノトーンの店内は、何といってもお客様が主役になります。
それは、時代を映す鏡にもなっているわけです。



渡辺寛展

会場
:西瓜糖(coffee and wine+Art)
杉並区阿佐谷1-28-8
TEL 03-3336-4389

会期:1月5日(土)〜28日(月)
11:00〜23:00
火曜定休

tizu

※ 西瓜糖では意欲のある若手現代美術作家の展覧会を常時受け付けています。
西瓜糖大町までお問い合わせ下さい。




<展覧会情報>
昨年藍画廊で個展を開いた日向宏一さんが、銀座のギャラリー・オカベで新作展を開催中です。
詳細はここをご覧下さい。



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