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iGallery's eye vol.4 秋元珠江展



GHギャラリーの入口に立つと、正面の壁に「手」が映し出されています。
隣り合った右手と左手の掌が上を向き、何かを受け止めようとしているかのように見えます。



「手」の映像は不鮮明で、テレビのゴーストのように二重写りになっています。
「手」の映像はモノクロームですが、部分的にピンクとグリーンがほんのりと被っています。

「手」の映像は床に設置されたプロジェクターから、小さな水槽に向けて投射されています。
この画像は横から撮影したものです。
アルミで縁取りされた水槽には水が張られ、底は鏡張りになっています。
つまり、下向きに投射された映像は水を透過して底の鏡で反射され、離れた壁面に投影されます。
だから、「手」は不鮮明なのです。
映像が透過する水はレンズとなって、本来はそこに無いピンクとグリーンを壁に表出しています。
水槽に浮んでいるのは様々な種子です。
種子は、水槽の上の(天井から吊るされた)箱から時々落ちてくる仕掛けになっています。

ギャラリー入口横の壁に秋元さんのコメントが張ってあります。

パーセンテージ



会期中、変化する作品です。

種子がたまに上から落ちてきて、波紋を作ります。
種子は芽を出すものもあります。
反射で投影している映像はその影響を受けます。

「パーセンテージ(%)」は、この作品のタイトルです。
種子が水に作る波紋は、壁の映像を揺らします。
水の中で芽を出した種子は、その影を「手」にひっそりと映し込みます。
あたかも「手」に小さな染みができたかのように。




再び、「手」の映像です。
プロジェクターから投射された「手」の映像は、直接、間接の影響を受けながら壁面に映されています。
「手」は、何時落ちてくるかわからない種子を受け止めようとしているかに見えます。
その実体は「光り」である(でしかない)「手」は、実体である水や種子とどういう関係を結んでいるのでしょうか。
水の底で輝いている「光り」は、どこで種子を受け止めるのでしょうか。
そして、「手」が映し出されている時間と、種子から芽が出る時間はどこで関わるのでしょうか。
単純なようで複雑な構造を持つこの作品を眺めていると、いろんな思いにとらわれます。

「手」の映像は25分間ワンカットで撮影され、それがエンドレスでリピートされています。
「手」を長い時間見続けていると、その表情の豊かさに驚かされます。
「手」は、持ち主の感情や心の動きを包み隠さず表現しているかのようです。
多分、「手」は嘘をつけないのでしょうね。
手と手を合わせる、つまり合掌すると、何故か心が落ち着きます。
それと「手」は、何か関係があるのかもしれません。


会期中、「手」は変化します。
貴方の観る「手」はどんな「手」でしょうか。

御高覧よろしくお願いいたします。


iGallery's eye vol.4 秋元珠江展 企画担当  ふくだ まさきよ




会期


2001年5月17日(木)-5月29日(火)

pm3:00-24:00(水曜休廊)



会場案内



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