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tearoom


東京の銀座通りの中心は四丁目の交差点です。
和光の時計台があるところですね。
和光の斜向かいは日産のショールームで、その隣かもう一つ隣に銀座コアというビルがあります。
ビルはパルコのような構成で、ファッション中心のテナントが多数入居しています。
このビルの一階にはtearoomがあります。
入ったことはないのですが、cafeというよりはtearoomといった雰囲気のお店です。
品の良い言葉でいえば、「喫茶店」です。



店内です。
どうしたことでしょうか、お客さんがいないですねェ。
この辺りのお店は年中無休のはずです。
変ですね。



直ぐ横の
銀座コアの入口を見てみると、「全館臨時休業」の貼紙。
撮影したのは今から二ヶ月前(二月ごろです)ですが、多分ビルの設備関係の工事があったのでしょう。
それでやむなく全館休業になったと思います。

ウッドのテーブルとパステルカラーの布張りの椅子。
華やかさと落着きがあって、なかなか良い雰囲気ですね。
この内装で、ほどほどの美味しさと、さり気ないサービスがあれば、贔屓にしたいですね。



といっても、ここは銀座のど真ん中。
出入りも激しいし、ゆっくり腰を落ち着ける場所ではありません。
銀座通りから一つ裏の通りにあれば、違ったでしょうが。

いつもは人と会話で充たされている店内が、静寂で覆われています。
行儀良くと並んだ椅子とテーブル。
束の間の休息を取っているのかもしれませんね。

銀座の良さは、シックと流行がほど良く調和していることです。
どちらにも傾かず、ほど良く溶け合っている。
昔からの老舗が装いを変えながら残り、新興のブランドショップも進出する。
業態も、様々あります。

残念なのは、いつの間にか四丁目の交差点が巨大モニターと看板に占領されたことです。
わたしがいうと何ですが、ちょっと品がない感じです。
それから、前にも書きましたがフランスのブランドショップの過剰な出店。
(景気が悪いとはいえ、相当額の可処分所得を持つ日本ですから、狙われても致し方ないと思いますが。)
日本のブランドショップにもガンバッテ欲しいですね。



人一人いない店内。
耳を澄ませば、テーブルと椅子のヒソヒソ話が聞えてきそうです。
何を喋っているのしょうか。
通りを歩く人の品定めでしょうか。
それとも、銀座の変遷について意見を交わしているのでしょうか。

もしかしたら、お客様の会話を聞いていて、情報交換をしているのかもしれませんね。
会社や家族の話、バーゲンの情報やら新しくオープンしたお店のことなどなど。
そうそう、恋人達の会話も聞いているのに違いありません。
甘い会話も辛い別れ話も、聞いているのでしょうね。

いつもは脇役で、静かに沈黙を守っているテーブルと椅子。
それが、滅多にない休暇で昼日中から会話を楽しんでします。
もちろんこれはわたしの勝手な想像ですが、そう思うと、そう見えるから不思議です。
例えば上の画像、四人席の椅子が、膝を詰めてヒソヒソと話をしているように見えませんか。
いつかあの椅子に座った貴方の、噂話をしているかもしれませんよ。



ガラスに映った車道には高級車が停まっています。
お買い物の車ですね。
歩いている人もオシャレですし、車もオシャレです。
銀座は、そういったロマンチックが似合う街です。

わたしのモットーは「清く、貧しく、美しく」です。
これはモットーですから、実際ではありません。
このモットーを、付き合って間もない頃に妻にいったことがあります。
そして不思議な顔をされました。
真中の「貧しい」が解せなかったようです。
「金持ち」で何がいけないかと。

不意を食らったわたしは言葉に詰まりました。
確かに考えてみれば「金持ち」でも問題なさそうです。
「清く、リッチで、美しく」でも良かったんですね。
そう考えなかったのは、つまりは貧乏性ということだったのです。
わたしは、そういう性分だったのです。
(今もそうですが。)
はて、何の話をしていたのでしょうか。
そうそう、銀座のtearoomの話でしたね。



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