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スナック


綺麗なオネーサン、お二人です。
水商売の方のようですね。
和装と洋装、どちらもお似合いです。

もちろん、わたしの知合いではありません。
わたしはオネーサンのいらっしゃるようなスナックには縁がありません。
ワインバーか居酒屋で、専ら友人と飲んでます。

左のオネーサンは「銀座のスナック」のママさん。
右のオネーサンは「場末のスナック」のママさんです。
あっ、場末というのはわたしが勝手につけたんじゃありません。
それじゃ、あまりにも失礼です。
そういうスナック(お菓子)が販売されていたのです。



これです。
ね、「場末のスナック」って書いてあるでしょ。
このスナック、正体はポテトチップスで、ファミリーマートと吉本興業の共同企画です。
期間限定で既に販売は終了しています。

場末のママさんは場末佐奈子さんで、「わたしをうまくあげてね。」と袋の裏側にメッセージが入っています。
味は、ソースコロッケ味。
銀座のママさんは仏葱椒胡(ほとけねぎしょうこ)さんで、「わたしをパリに連れてって」とメッセージが入っています。
味は、フレンチオニオンペッパー味。
お名前の通りですね。

こういうスナックが出るとは世も末ですが、実際そうですからそんなことをあれこれ書いても仕方ありません。
今、「iの研究」で<音楽>を研究しています。
それにかこつけて音楽の話をしたいと思います。
アッチは理屈ですから、コッチは軟調でいってみますね。



「おもてなしの心を袋につめました〜」。
ナイスなコピーです。
場末の方は、
「ぶつぶつ言わんとさっさと食べ!!〜」。

分かりました、分かりました、食べてみます。
庶民的なコロッケソース味です。
美味しいです。
銀座は、
オニオンの香りが上品ですね〜。
さすが会員制のスナックだけのことはあります。

スナック、こういう形態の酒場は日本特有でしょうね。
バーは風俗営業で営業時間が12時までと決められているので、規制逃れとしてできたのがスナックです。
酌婦(古い言葉ですね)がいなくて食事も出せるのが原則ですが、原則は原則、現実はホステスみたいな方がいるスナックは珍しくありません。
生活の洋風化に伴って、洋風の飲屋として日本全国に定着したのがスナックです。

さて、スナックでかかる音楽といえば、
これはもう、ムード歌謡ですね!
ムード歌謡コーラスグループの歌う、ムード歌謡。




突然ヘンな画像が入りましたが、クリスマスのスナックをイメージしてみました。
常連さんが集まって、灯を消してブラックライトを照明にしたスナックのイメージです。
(あるいは、スナックのネオン看板のイメージです。)
雰囲気、出てるでしょ。

ムード歌謡の元祖は、なんといっても和田弘とマヒナスターズです。
マヒナスターズという名の通り、もともとはハワイアンバンドでした。
ハワイアンは戦後の日本でいち早く流行った洋楽です。
マヒナスターズは都会派歌謡やジャズのフレーバーを取り込んで、ムード歌謡というジャンルを創設しました。

しかし、不思議なんですよね、陽光の下のハワイアンが隠花のようなムード歌謡に変身するなんて。
もう、音楽の七不思議です。
スティールギターにのって中年男が女心を切々と歌う。
バックには気色の悪い(失礼)裏声コーラス。
倒錯しまくってますが、それが平然と受入れられる日本という土壌。
女形(おやま)や宝塚の伝統があるからでしょうか。

マヒナスターズの名曲の多くは女性歌手とのデュエットです。
田代美代子との「愛して愛して愛しちゃったのよ」。
松尾和子との「誰よりも君を愛す」、「お座敷小唄」。
吉永小百合との「寒い朝」。

ちょっとコミカルな「愛して愛して愛しちゃったのよ」、シリアスな「誰よりも君を愛す」、宴会ソングの「お座敷小唄」、清純な「寒い朝」。
曲調の広さも驚異的ですが、どの曲も全然無理がないというか、自然体で演ってます。
わたしのフェヴァリットは「お座敷小唄」で、携帯を買ったときに着メロにしようと思いました。
ナンセンスでしかも意味があるような一番の歌詞、「富士の高嶺に降る雪も〜」が最高です。
(携帯には直ぐ飽きてしまって、結局着メロはデフォルトのままです。)



場末サンの方のクリスマスパーティー、あるいはネオン看板です。
マヒナスターズ以外のムード歌謡コーラスといえば、鶴岡雅義と東京ロマンチカ、黒澤明とロスプリモス、内山田洋とクールファイブ、そうそう、敏いとうとハッピー&ブルーなんてグループもありましたね。
グループ名を列挙しただけで、スナックのあの雰囲気が頭の中で想像できますね。

グループ名をみればラテン系が多いことに気がつきます。
ムード歌謡のグループを大別するとハワイアン系とラテン系に分かれます。
クールファイブはどちらでもないですね。
リードボーカルの前川清のボーカルスタイルも、他に比べると特異です。
同じ女心を歌っていても、実に堂々としていて、オーソドックス。
ジャズ系でもないですし、正統的な歌謡曲の流れかもしれません。

これらのムード歌謡グループに、箱崎晋一郎、三善英二、美川憲一の流れ、女性歌手ですと松尾和子、青江美三奈あたりを加えれば、スナックのBGMは完璧です。
変則としては、増井山太志郎、内藤国男。

スナックとムード歌謡。
似あってますね。
クラブ(ホステスのいない方のクラブです)通いに疲れた貴方。
今宵はスナックで、溺れてみませんか。
奇麗なオネーサンも、待ってますよ〜。
(見知らぬ土地や繁華街にはボッタクリもありますから、注意して下さいね。)



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