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CoCoon


テレビ放送が開始されてから今年で50年になるそうです。
NHKでさかんに記念番組を放映していますが、ご覧になりました?
テレビが家庭に普及して、わたし達の生活は本当に変わりましたね。

前回更新の「神々の研究」で農村の変化について書きました。
変化の要因は様々ありますが、私見ではテレビの普及が大きいのではないかと思っています。
農村にテレビが普及した1960年代中頃から変化が顕著になったような気がします。

わたしはテレビが嫌いなわけではないのですが、それほど見ません。
それでも日に1時間ほどは電源を入れます。
主に食事の時間にバックグラウンドとしてテレビをつけています。
見ているような、見ていないような視聴です。

真面目にテレビと対座したのは、一昨年の911のテロの時。
あれほどテレビを見たのは久し振りでした。
そうそう、去年のサッカーのワールドカップの日本戦も熱心に見ました。
やはり、テレビは事件とスポーツには強いですね。
最近テレビで多いのは北朝鮮関係の映像です。



自分の部屋のテレビで撮影した金正日(キム・ジョンイル)総書記です。
人民に拍手で応える、の図です。
何か、最近のテレビはテロップが大きいですね。


しかし、今回の話題は金正日総書記ではありません。
SONYのチャンネルサーバーCoCoonです。
チャンネルサーバーとは、HDD(ハードディスク・ドライブ)レコーダーのことです。
簡単にいえば、テレビ映像をHDDに記録するということです。

このレコーダーのキーワード設定で金正日と入力すれば、CoCoonが勝手に金正日関連の番組を録画してくれます。
キーワードは、SMAPでも宝塚でもセリエAでも中田英寿でもモー娘でも可能なはずです。
恋愛ドラマでもホラー映画でもアニメでもナイナイでも。
あっ、貴方顔色が変わりましたね。
そうです、情報を必死に集めまくって予約録画する必要なんかないのです、CoCoonにお任せすれば良いのです。



順序立ってCoCoonを説明しましょう。
まずCoCoonで電子番組表(EPG)を取得し、予約録画。
これは普通の録画ですね。
CoCoonが違うのは、キーワード設定をしておけば条件に合った番組を自動録画してくれることです。
その番組を視聴中に、番組のおすすめが役立ったかどうかをCoCoonは尋ねてきます。
この答えを学習して、自動録画の精度グングン上げていきます。
この学習機能が「おすすめアルゴリズム」です。
(キーワードはEPGに依存することになりますが、どの程度まで番組情報が載っているかは不明です。かなりの情報があると仮定して話を進めました。)

蓄積された番組はカテゴリー別(ドラマ、映画、スポーツ、自分で予約した番組、とか)に整理され、チャンネルを切り替える感覚でサーチできます。
放送中の番組もカテゴリーに入りますから、録画との区別なくシームレスでテレビを楽しめます。
つまりNHKとかNTVといったチャンネルで番組を変えるのではなくて、カテゴリーでチャンネルを変るのです。
しかもHDDの利点を生かして、録画中の番組をいきなり最初から見るという「追いかけ再生」もできます。
(放送中の番組の一時停止も可能で、解除後には停止した場面からも再生できます。)

CoCoonはブロードバンド常時接続ですから、外出先から携帯、PCでアクセスして予約録画できます。
これは間にSONYのサイトを挟みますから、予約完了はサイトからのメールで知らされます。
このポータルサイトからは、CoCoonのアップグレードやサービスの追加をダウンロードできます。

さて、ここから画像はDVDで唯一所有している「スリー・キングス」のキャプチャに変わります。
実をいえば、わたしのテレビは録画した映画やレンタルビデオ、DVDのモニターとして利用がほとんどです。
「スリー・キングス」はシネマスコープですから、画面の上下が黒くなっています。



CoCoon(CSV-E77/WORKS)のHDは320GB(!)あります。
VHS120分テープに換算すると約100本分です。
余裕でドンドン録画できますが、足りなくなったらどうするかというと、HDの増設で対応。
DVDにオトす、などというケチなことは考えていません。
キーワードで録るだけ録って、必要なものだけ保存して、後は見たらサッサと消すスタイルです。

CoCoonが他社のHDDレコーダーと違うのは、チャンネル概念を変換したことです。
他社のHDDレコーダーはほとんどが録画してDV Dにオトすだけ。
CoCoonは、大袈裟にいえば番組編成権を放送局からユーザーに移行させています。
局の切替えではなくてカテゴリーの切替えで視聴し、しかもそのカテゴリーの中身は自分仕様の番組。
(自分仕様といえば、自分でDVカメラを回して撮影した映像も CoCoonに取り込めます。)
さすがは、SONYです。

テレビは一家に一台から、各部屋に一台、一人に一台の時代になりました。
マイテレビの時代ですが、同じマイテレビでも CoCoonはちょっと違いますね。
マイ放送局がHDの中に存在しているようなものですから。



画像の右側の米兵はラッパーのアイス・キューブです。
「スリー・キングス」は湾岸戦争直後のイラクが舞台です。


テレビの変遷をソフト面で見ると、モノクロからカラー、カラーから精細画像(デジタル、ハイビジョン)になります。
ハード面から見ると、ビデオデッキの出現とリモコンが大きな変化でした。
いずれにしても、テレビ受像機が主役であったことには変わりありません。

もし、CoCoonタイプのチャンネルサーバーが普及すると、主役はサーバーになります。
テレビ受像機は単なるモニターの立場に変化します。
SONYが謳う「ビデオデッキ以来の大発明」も、あながち誇大広告とはいえませんね。

SONYはトランジスタを使った小型のラジオやテレビで独自の分野を築いてきました。
当初から<個>をターゲットにした情報機器を開発してきたメーカーです。
<個>の情報機器の代表作はウォークマンです。

CoCoonとは繭のことです。
繭は休眠中のサナギが外界を遮断するためのカプセルです。
CoCoonとは、実にSONY的なネーミングです。

日本人が初めてテレビを目にしたのは街頭です。
一台の街頭テレビの画面を、大観衆が食い入るようにして見ました。
今貴方は、貴方だけの放送局を内蔵したサーバーでテレビを見ることができます。
それが50年という歳月であり、テレビ放送の50年なんですね。






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