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絵画


ここは山梨県甲府市の酒折(さかおり)です。
JR中央線酒折駅は東京方面から行くと甲府の一つ手前になります。
甲府市の東部に位置する町です。
写真の手前の道路は、甲府バイパスができるまでは甲州街道でしたが今は県道になっています。
この道路を挟んですぐのところに、駅伝で有名な山梨学院大学があります。



写真のお店は、中華/御食事処「タイぺー」です。
手っ取り早くいえばラーメン屋さんですね。
店名と店構えに、ここがトラディショナルなラーメン屋さんであることが分かります。
その「タイぺー」の駐車場横に絵が設置されています。



これです。
かなり大きい。
縦が1m50cmはありますね。
横は3mぐらいでしょうか。
大作で、しかも非常にしっかりと作ってあります。

海上で離着陸できる昔のプロペラ飛行機です。
形式名を忘れましたが、子どもの頃写真や絵で見た記憶があります。
赤、青、緑、黄色が主体になった、爽やかで明るい絵ですね。
しかし、この絵がここにあるのが解せません。

もし、この絵がちょっとノスタルジックなアメリカンレストランや、コーヒーショップの駐車場に設置されていたのなら解ります。
お店の装飾の一部であり、広告/宣伝でもあるからです。
つまり、イラストレーションとして考えればいいわけです。
ところが、この絵のあるお店はラーメン屋「タイぺー」。
装飾にもなっていないし、客寄せにもなりません。
どちらかといえば、周囲から浮いた感じでこの絵は存在しています。


絵に近づいて見ました。
パイロットは外人ですね。
これを描いた人、結構上手いです。
とりあえず描きたいことを描ける技術があります。
光の描き方が、サーフボードやスケートボードに描かれるタッチに似ています。
その手のイラスト系の絵です。
だけど、この絵にはサービスする相手がいないので、イラストではなくて絵画になります。
ま、理屈の上の話ですけどね。


正直にいえば、絵画としてはたいした作品ではありません。
多少腕の立つ素人が描いた絵、ぐらいの評価でしょう。
だけど、この絵は「タイぺー」からも浮いていますし、町中からも浮いています。
その浮き方に興味があります。

存在理由が不明にもかかわらず、妙な存在感があるからです。
描いた人の空想(妄想)が、日常の風景にポッカリ穴を空けた感じです。
こういう感じは好きですねぇ。
殺風景な周りから、クッキリと浮かび上がった巨大な空想(妄想)。
ナイスです。


これは推測ですが、この絵は「タイぺー」の息子が描いたのではないと思います。
完全な推測ですが。
一応、お店の宣伝の為に。
だけど、描き始めたら自分の描きたいことを描いてしまい、全然宣伝にならなかったという・・・・。
これを書いているわたしも、特に「タイぺー」で食事をしようとは思いませんでしたから。

よくラーメン屋や蕎麦屋にいくと、店の親父の趣味が写真で、富士山や桜や紅葉の写真が飾ってあることがあります。
(普段は無口な親父にその写真のことを聞くと、帰る隙を与えないくらい喋られます。)
この絵のケースは、それに似ているかもしれません。
しかし、絵の巨大さと、パターンを外れた着想がそれらとは一線を画しています。
会ってみたいとは思いませんが、この絵を描いた人がどういう人なのか知りたい気持ちもあります。

さて、今藍画廊では「美」と「術」2001展を開催中です。
絵画をテーマにした展覧会です。
まだご覧になっていない方は是非観て下さいね。
わたしが企画した展覧会ですから。
それに引っかけたわけではないのですが、今回は町で観た絵画を撮影してみました。
それでは。




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