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「探偵物語52」

街は休むことなく動いている。
街のエネルギーを生んでいるのは、何だろう。
人々の欲望だろうか。
それは一つの解に違いありません。

遠い昔、社会科の教科書に街の写真が載っていたのを憶えています。
経済活動で慌ただしく動いている街の表情です。
その教科書の違うページに、発電所の写真も載っていました。
ダムの写真です。

街のエネルギーを直接(根底から)支えているのは、このダムです。
電力を街に供給し、電気は街の血液となって、その身体を動かしています。
街のエネルギーは、街から遠く離れた自然の中に存在しています。
そこは、どのようになっているのでしょうか。

小さな疑問が直ぐに行動に結びつくのは、探偵の習い性なのか、それともわたしの性質なのか。
恐らく、後者でしょう。
解を求めて、わたしは出掛けました。
今回は、そんなわけで、社会科の授業です。



わたしは、ダイナマイトシティを離れて、ダムに向かっています。
わたしの住むダイナマイトシティに電力を供給している、ダムに向かっています。
ダムは、山道を上った遥かかなたの湖にあります。
といっても、クルマで行けば約四十分。
午後の予定を変更し、街のエネルギーの原(もと)に向かっています。

再び、社会科の教科書。
思い出して下さい、ダムの写真には説明がありましたね。
社会の発展を支え、生活の向上を計る電力の源。
それがダムです。
水を満々と貯えた貯水池と、コンクリートのダム施設。
そんな写真の横に、説明があったはずです。

街のエネルギーは、直接的には、電力によって成り立っています。
あの2000年問題を持ちだすまでもなく、電気は街の生命線(ライフライン)なのです。
日常生活の、経済活動の、生命を握っています。

この「探偵物語」も「iGallery」も、電気によって貴方の許に届けられています。
そのような意味では、わたしのエネルギーも電力に頼っています。
だとしたら、一度はその源を見てみたい。
その正体を、見てみたい。
はやる気持ちを抑えて、わたしは慎重にステアリングを切って、山道を上っていきました。



山道を上ること十数分、エメラルドの湖が、助手席の窓から見えてきました。
地図で確かめると、この湖がダムの貯水池です。
山の頂上に近く、辺りに人家はありません。
しかし、教科書でお馴染のコンクリートのダム施設は見えません。
静かな湖が佇んでいるだけです。

道に迷ったのでしょうか。
地図では、ここが貯水池の筈ですが・・・・。
クルマを進めて、湖を周回することにしました。
どこかに、発電施設があるはずです。



湖の全景が、見えてきました。
遠くに並ぶのは、送電塔。
タワー・オブ・パワーです。
街にパワーを運ぶ、搭です。
そう、ここは間違いなくダムの貯水池です。

左側に、ダム施設とおぼしき白い建物が見えます。
湖の水平線辺りにも、ダムの付帯設備のようなものが見受けられます。
そちらの方向に進んでみましょう。



「探偵物語53」に続く