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探偵物語(17)


暑い夏が続いています。
いかがお過ごしでしょうか。

真夏は、仕事がヒマです。
ネコも人間も、逃げ回る元気がないからです。
探偵は、逃げてくれないと仕事になりませんから、事務所で過ごす時間が多くなります。



ヒマだったら、どこかの島にでも遊びに行けばよいのですが、それができません。
留守の間に依頼者が訪れるような気がして、ダメなんです。
貧乏性なんですね。
そんなわけで、クロゼットから出したアロハも、ハンガーに掛かったままです。

街の探索も、このところ進んでいません。
何しろこの暑さですから、仕事以外では外に出る気がしません。
夕方になって、気が向くと、探索に出かけることにしています。



街の光景です。
このカットは、ビルの窓に目が行って撮ったものです。
ブルーで、涼しそうでしたから。

街を探索していると、街の要素ともいうべきモノに気付きます。
それは、主にビル、道路、看板等々です。
その他にも、付属物のような成分が多数あって、街の光景は成り立っています。




ガードレールです。
車道と歩道を区分して、歩行者をガードする役目を持っています。
(車道から邪魔な歩行者を隔離する、の方が正解かもしれませんね。)
幾つかの形状がありますが、上のようなシンプルなモノが好きです。
車道と歩道が曖昧な道路に多いのですが、これが設置された頃から、道路の主役が人からクルマに完全に移りました。



大きなビルの裏手の生け垣です。
とても日常的な光景です。
造作に無駄がなくて、合理的です。
樹木は、本物である必要がないかもしれません。

わたしは、光景を切り取るときには、あまり考えていません。
探偵の勘だけで、フレーミングしています。
基本的には、好きな光景を撮っています。

もし、これらの写真を知らない人が見たら、何も写っていないと思うでしょう。
被写体の中心ともいえる、話題がないからです。
話題がなければ、皆黙ってしまいますね。

探偵は、話題のないところから話題を探して、その話の基を追いかけます。
大きな話題よりも、ありふれた日常の仕草や習慣から、調べが進むことが多々あります。
わたしは、無意識にその方法論を採用しているのかもしれません。



これも極くありふれた、シャッターに貼り紙です。
夏休み(盆休み)の告知です。

多分、わたしはシャッターのパターンや質感が好きで、しかも、どちらかといえばパーソナルなメッセージである貼り紙が好きなのでしょう。
これは、撮ったわたしではなく、今書いているわたしの分析です。
そう、わたしはわたしを話題にして、今書いています。
(ヘボな探偵を、言うことだけは一人前の探偵が、調査しているのです。)


何だか理屈っぽくなって、スミマセン。
個人的な嗜好に他人を巻き込んでいるようで、気が引けます。
でももしかしたら、この広い世の中には、わたしと同じように日常的な光景が好きな人がいるかもしれません。
それを願って、探偵物語を更新しています。