iGallery DC



伊佐雄治展
「円舞、再び」
ISA Yuji

伊佐雄治展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、入口横と左側壁面(左)の展示です。
入口横壁面上は、タイトル「たゆたふ見れば」でサイズ18×9cmです。
入口横壁面中は、「天見るごとく」で18(H)×9(W)cmです。
入口横壁面下は、「朝露のごと」で18×9cmです。
左壁面左は、「花の色は 0921」で14×20cmです。
左壁面中央は、「花に寄する 0923」で14×20cmです。
左壁面右は、「花に寄する 0924」で14×20cmです。
なお、展示作品はすべて孔版(シルクスクリーン)、凸版です。



左壁面(右)の展示です。
左は「万葉に寄する ’11-05~’15」で65×65cmです。
右は「万葉に寄する ’15」で65×65cmです。



正面壁面の展示です。
左は「森に帰りて ’11-10~’15」で65×45cmです。
中央は「万葉に寄する ’15-1」で65×45cmです。
右は「円舞 ’08-22~’15で65×45cmです。



正面壁面エアコン下の展示です。
上は「円舞 ’08-22~’15」で25×25cmです。
下は「円舞 ’07-57」で25×25cmです。



右壁面(左)の展示です。
左は「万世、そして草木の葉 ’16-6」で25×25cmです。
中央は「万世、そして草木の葉 ’16-1」で25×25cmです。
右は「万世、そして草木の葉 ’16-5」で25×25cmです。



右壁面(右)の展示です。
左は「万世、そして草木の葉 ’16-4」で25×25cmです。
中央は「万世、そして草木の葉 ’16-3」で25×25cmです。
右は「万世、そして草木の葉 ’16-2」で25×25cmです。

3点、作品をピックアップしましたのでご覧下さい。



左壁面の「万葉に寄する ’15」です。



左壁面の「万葉に寄する ’11-05~’15」です。



正面壁面の「森に帰りて ’11-10~’15」です。

伊佐雄治 [作家コメント]    

私は20余年前の50歳を機に、それまで続けてきたグラフィックデザインの仕事を控え、スクリーン版画の制作を始めました。
孔版を選んだ理由は、それまでのポスター制作などでスクリーン技法に精通していたことに加え、デザインにおける複製表現と無名性の延長上で作品を作り続けたかったからです。
その意味において私の作品は、絵画や版画などの純粋芸術よりは、目的芸術の範疇である「装飾美術」といった方が本質を良く表していると思っています。  
制作の当初から指針としてきた「負の表現」とは、生来の性格と体質に加え、戦中に生まれ、敗戦後の歴史で掴んだ私自身の存在証明です。
そして、この場合の「負」とは、あらかじめ全てが失われてしまった虚無から始まる楽観的な姿勢でもあります。
以来、生まれ育った武蔵野の自然に触発され、人と自然の共生を願いながら「万葉」の本来的な意味である「万世、そして草木の葉」を主題にして作品を制作してきました。
時に作品の題名に「万葉」を使うこともありますが、そこから日本最古の歌集『万葉集』を想起されても吝かではありません。  
そんな一時期、「円形」を人と自然をつなぐ象徴的な形として位置づけ、円を使った作品群を制作したことがあります。
自然の中に実在する究極の形は球体で、それを平面で切った切り口が円形になります。
そして私たちは、欠けた所が無い丸い円を、円滑・円熟・円満などの言語に昇華させて、モノやコト、また人が充分である状態を表現するときに使っています。
今回の個展では、当時の作品、それに手を加えたもの、そして新作を合わせて展示し、もう一度、円の持つ意味性について確認しようと思い、個展の惹句を「円舞、再び」と致しました。   
スクリーン孔版は本来的には極めて機能的かつ平面的な新しい版式ですが、一度刷った油性インキを取り除く「負の手法」を施すことで、実は日本の古典が持つ微妙な陰影や濃淡の表現に追随出来ることが判りました。
しかし残念ながら、私が使い慣れた大手メーカーの油性インキは、コンピューターによる簡便なプリントの普及に負け、一昨年に廃番になってしまいました。
ただ、その時に買い貯めた少量のインキが手元に残っていますので、それを使い終わるまでの時間に限定し、「ケ」の日常性の中で個展を繰り返してきた「負の姿勢」を全うしようと思っています。                           
2015年12月記

略歴

・1942年、東京都立川市生。
・1967年、東京芸術大学美術学部工芸科ビジュアルデザイン専攻卒業。  
・1969年、東京芸術大学大学院ビジュアルデザイン専攻修了。 以後、フリーのグラフィックデザイナーとして主に書籍デザイン、 新しい音楽 、ダンス、演劇公演の宣伝美術などに携わりながらイラスト展等を開催。
・1969年から2012年まで、東海大学芸術学科デザイン学課程でデザイン教育に従事し、デザイン表現法を研究、作品を試作して発表。
・1993年から「負の表現」を主題にしてスクリーン版画を制作、 会場や地域等にこだわらず、日常性の中で今日まで個展を継続的に開催する。  
・2008年に八ヶ岳山麓の原村に移住し、八ヶ岳画荘を主宰。

★1993年から継続的に開催してきたスクリーン版画の個展が今回で108回目になりますが、  私にとっては全ての個展が等しく有効であり、主な個展は挙げられません。

伊佐さんの作品は版画の技法を使っていますが、モノタイプ(一点もの)です。
シルクスクリーンの上からスキージでインクを落としますが、その後にそれを拭き取る作業があるからです。
その結果、版画とは思えぬような複雑なタッチ、模様が画面に残ります。
版画とドローイングの混合技法と言えるかもしれません。

コメントにもあるように、今回が108回目(!)の個展で、しかもスタートが50歳代からです。
個展の際は律儀に会場に赴くそうです。
決して回数だけを稼いだ数字ではありません。
そんな姿勢は端正で誠実な作品に投影されています。

作品で印象に残るのは、円の抽象的な形態と具象的な自然の風景の交錯です。
画面は一見抽象画に見えますが、よく見ると、(撮影された)自然の風景が円と融合しています。
特筆したいのはその色相で、彩度を抑えているものの、派手で鮮やかなものになっています。
金や銀の多用と相まって、琳派を彷彿させる色使いです。
「装飾美術」の面目躍如です。
ただ琳派と大きく異なるのは、作品に偶然性を導入していることです。
前述したインクを拭き取る過程にそれが発揮されていて、予定調和に陥らず、アップツーデートな表現になっています。

画面が左右天地が対称になっているせいもあって、宗教画、曼荼羅を想像する方も多いかと存じます。
その大きな因はコンセプトの基底にある死生観ではないでしょうか。
生と死が繋がって、円のように循環している様子。
複雑な紋様を描きながら万物が宙を形作っている有様。
其処に永劫の営みを見ることができるかもしれません。
さほど大きくはない平面作品ですが、そのスケールは、伊佐さんの生きてきた足跡の大きさに値するものがあると思います。

ご高覧よろしくお願いします。

プライスリスト

作品の価格は2016年12月まで有効です。
作品を購入御希望の方は、恐れ入りますが、下記までメールにてご連絡をお願い致します。
折り返し送金方法、納品時期等をお知らせ致します。
(作品が配送の場合、勝手ながら送料はお客様のご負担とさせていただきます。)
なお、作品納入後一ヶ月以内の返品は受付させていただきます
fuku-mac@@kc4.so-net.ne.jp
(*お手数ですが@を一つ取ってから送信してください。)


iGallery DC  伊佐雄治展
会期:2016年1月10日(日)〜2月7日(日) 
開廊日:木・金・土・日
時間:12:00〜19:00


会場アクセスと展覧会スケジュール