浅川洋展
-MONAD2011 COUNT・UNDER WORD-
ASAKAWA Yoh
浅川洋展の展示風景です。
各壁面の展示をご覧下さい。
画廊入口から見て左側の壁面です。
左から、作品サイズ74(H)×53cm(W)、53×74cm、75.5×104cmです。
正面の壁面です。
左から、104×75.5cm、104×75.5cm、奥の壁面の作品は51×36cmです。
右側の壁面です。
左から51×36cm、37×27cm、37×27cm、27×37cmです。
作品は紙・アクリル絵具・オイルバー・パステル・木炭・鉛筆を使用していますが、一部の作品はパネルを用いています。
左壁面の作品です。
作品の部分のクローズアップです。
浅川さんは2004年から「COUNT」という数字を書き続けるシリーズを制作しています。
上の画像を見ると、無数の数字が描かれているがお分かりかと存じます。
数字は0から始まって1.2.3と続き、膨大な数字になりますが、ある時点で筆を置きます。
何重にも重ねられた数字を背景に、いわば図として描かれている物体は、縄文土器です。
縄文土器を逆さにに置いたものです。
その上部からは煙のようなものが出ています。
同じく左壁面の作品です。
描き連ねた数字の前面にある白いものは、地面の下(UNDER WORLD)に埋まっているモノです。
それは縄文土器であったり、土偶、石偶であったり、あるいは、単なる土くれかもしれません。
ともあれ、地中で眠っている素朴なモノの欠片(かけら)です。
左壁面の上と同じシリーズの作品です。
正面壁面の作品です。
数字に縄文土器が描かれています。
左壁面の青い作品同様、煙のようなものが立ち上っています。
これは幼児を葬る時に土器が使われる風習があり、その時立ち上る煙(魂の上昇)を表しています。
同じく正面壁面の作品ですが、上がシルバー系の色合いなら、こちらはゴールド系の色合いになっています。
正面壁面の奥に展示された小品です。
器と数字が描かれています。
モノクローム系の作品が多い中、器の中から発光しているように見えるグリーンが鮮やかです。
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右壁面の小品2点。
左は上の作品と連作のような形態ですが、紙の上に薄い紙が貼られています。
右は仮面のようなものが中央に描かれていて、数字は塗り込められていてほとんど判別できません。
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同じく左壁面の小品2点です。
これらも数字と地下に眠るモノの欠片が描かれています
「COUNT」というシリーズは前述した通り、数字を書き続ける作品です。
浅川さんは、なぜそのようなシリーズを始めたのか。
そのきっかけの一つに、911の同時多発テロがあったそうです。
日常の忙事に追われる日々に、あの、非日常的な事件と光景。
多くの人と同じように、浅川さんもショックを受けました。
あの時の犠牲者は2973人でした。
2973という死者の数字。
この数の人間を実感できるか、2973という数を肌で感じることができるか。
浅川さんは、試しに数字を1から描き始めました。
数字とは抽象です。
生活とは具象です。
その間にはギャップがあります。
情報化社会が進めば、当然そのギャップは広がります。
わたしたちは抽象(数字)の海で溺れつつあります。
何せ、ギガバイト(10,073,741,824)などという情報量を表す数字を日常的に使っています。
その数字の大きさも解らずに。それに疑問を持った浅川さんは、無謀にも、(例えば)ギガというような抽象的な数字を手で描こうします。
それが終わりのない旅で、手が折れようとも。
浅川さんは描き続けます、身体で数字を捉える為に。
そう身体こそは具象であり、10本の指は数字ではなく、具象なのです。他方で、浅川さんは山梨という風土に住むことにこだわりを持っています。
この盆地の中で生と死を見つめようとしています。
とりわけ山梨で多く発掘される縄文土器に興味を持ち、それをモチーフにして、数字と重ね合わせて描いています。
その描き方は独特で、自由奔放でありながら、様式的な美しさに満ちています。縄文式土器は生活用品であり、政(まつりごと)や神事に使われ、幼児の棺としても使われたそうです。
それこそは生と死が隣り合わせになった器であり、具象です。
数字と縄文土器は油と水のように画面で反発しあうのか?
いや、浅川さんのドロー(描画)を見ると、宇宙のように溶け合っています。
無限に続く数字と、土器が表す生と死の無限の循環。
それが画面の中で、わたしたちに、生と死が断絶したものでないことを示しています。この数字だらけのコンピューターが推進した情報化社会。
しかし皮肉なことに、コンピューターの数字は基本的に0と1しかない二進法です。
二つの数字ですべてを表しているのです。
それは、言葉を換えれば陰と陽の世界です。
もしかしたら、そこに、浅川洋さんの作品の秘密が隠されているのかもしれません。
最後に「COUNT」と同様、展覧会タイトルのキーワードとして使用しているMONADについて少し触れてみます。
これは哲学者・数学者ライプニッツ(二進法の確立者!)の思想の中核を表す概念ですが、浅川さんは以下のように考えて使用しています。
私は、モナドを感じることによって、「宇宙が、無限に異なるスケールから成り立っていて、どんな小さな部分にも、豊かな神の実体(あるいは神秘)がある」という想いを馳せます。
そして、日常生活の中でのささやかな事や、遠い場所での出来事を、自分との関係としてとらえようと思います。
目に見えないけれども私と繋がっている存在を感じ、その中に潜むモノを作品の中に現すことが、わたしの制作の一貫としてあるものです。
このような想いを込めて、1986年からMONADというキーワードを作品タイトルの始まりに使っています。
ご高覧よろしくお願い致します。
浅川洋略歴
作家Webサイト
プライスリスト
作品の価格は2011年末まで有効です。
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fuku-mac@@kc4.so-net.ne.jp
(*お手数ですが@を一つ取ってから送信してください。)
iGallery DC 浅川洋展 -MONAD2011 COUNT・UNDER WORD-
会期:2011年1月30日(日)〜2月27日(日)
開廊日:木・金・土・日
時間:12:00〜19:00
会場アクセスと展覧会スケジュール
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