新世代への視点 2025
飯島暉子展 微熱 / Slight fever
IIJIMA Akiko
本展は東京現代美術画廊会議企画 「画廊からの発言-新世代への視点2025」の一環です。
8画廊が推薦する40歳以下の新鋭作家による個展を各会場で開催します。
藍画廊の飯島暉子展の展示風景です。
展示室Aの展示です。
展示室B、左壁面の展示です。
展示室B、右壁面の展示です。
以上の9点で飯島暉子展は構成されています。
作品の詳細をご覧下さい。
![]() |
![]() |
展示室A、左壁面の作品です。
タイトル「折り皺を追う(誰かのサイン)」(梱包に使われた新聞紙、色鉛筆)の左側と右側で、サイズ42×32.5×2cmです。
![]() |
![]() |
![]() |
展示室A、右壁面と床の作品です。
左から「微熱(ジョグジャカルタ -2) 」(石鹸、体温)で9×5×2cm、「交差-円1」(紙、テープ)で14.8×10cm、「微熱(ジョグジャカルタ -1)」(石鹸、体温)でサイズ可変です。
![]() |
![]() |
展示室B、左壁面と床の作品です。
左は「交差-円2」(紙、テープ)で14.8×10cm、右の下は「微熱(ジョグジャカルタ -5)」(石鹸、体温)で8×5×2cm、右の上は「微熱(ジョグジャカルタ -6)」(石鹸、体温)で5×5×2.5cmです。
![]() |
![]() |
展示室B、右壁面の作品です。
左から「STAFF ROOM(Okuno-building #502)」(プレート、画廊の埃、接着剤)で14×4cm、「2 月の蜃気楼 」(本展覧会のハガキ)で8.7×15×1cmです。
<作家コメント>
自分の身体を道具として扱い、周辺にある日用品や自然環境との関わり方を探ってきました。
その結果望むようなものができなかったとしても、行為の残滓を作品として受け入れています。不成立も関係のひとつの在り方だと思うからです。
本展では、雨季のインドネシアに滞在したことで得た、のぼせるような気だるさと鮮やかな異国の日用品を用いて空間を構成します。「新世代への視点」は40歳以下のアーティストを対象に1993年から開催されています。
今年の参加作家の生年を見ているとスタート年度には生まれていない方も数名います。
藍画廊の飯島暉子さんもその1人で、この催しが一つの歴史になっていることに気が付きます。
過去に選ばれた作家を見てみると、その後に国内、国外で活躍している方が多数います。
そんなことを頭に浮かべながら8つの画廊を見て回りました。さて、藍画廊は飯島暉子さんです。
現役の藍画廊スタッフでもあります。
藍画廊は伝統的にスタッフ作家を起用することが多いので、自給自足画廊(?)かもしれません。
今回の飯島さんの個展、余白の多い展示です。
それは画廊空間の構成(インスタレーション)の意味と同時に作品そのものにも言えます。
つまり見る者の想像力を喚起する展示であり、思考を促す展示でもあります。ここで個々の作品の成り立ちを説明すると野暮になりかねないので、簡単なものにとどめます。
まずはコメントにあるようにインドネシアに滞在した時間と事物が作品のベースになっています。
現地の新聞、現地で購った、もしくは滞在場所にあった石鹸などです。
そして額装されたポストカードとそれを大量に接着した作品は、この個展の案内状を基に制作されています。
飯島さんの職場環境であるギャラリー内に密かにしかも堂々と貼られた標識も作品です。総じて非常に個人的な体験、環境をベースにした制作ですが、ある種のヒネりと作品から伝わるバイブレーションが心地良い。
とってもクールな展示でありながら、なぜかよそよそしさを感じさせません。
それは、飯島さんの作品がこの時代のこの場所に生きていることを表しているからです。
そのことが同時代人のわたしに伝わってくるのです。
一見抽象的な思考のように見える表現ですが、具体的な身体と経験から生まれた作品には確かに「微熱」があります。
遠い異国の湿気を帯びた色鮮やかな石鹸と新聞、作品と案内状の間のネジれ、そして会場そのものの密かな改変。
上質な短編ミステリーの舞台にいるような楽しさもあって、一時酷暑の銀座にいることを忘れました。
ご高覧よろしくお願い致します。
会期
2025年7月21日(月)ー8月2日(土)
日曜休廊
11:30ー19:00(最終日17:00まで)
会場案内