藍 画 廊

新世代への視点2022
吉田絢乃展 「territory」
YOSHIDA Ayano


本展は東京現代美術画廊会議企画 「画廊からの発言-新世代への視点2022」の一環です。
7画廊が推薦する40歳以下の新鋭作家による個展を各会場で開催します。
http://galleryq.info/news/news_newgeneration2022.html
藍画廊の吉田絢乃展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の14点が展示室の展示で、その他小展示室に1点の展示があります。
作品のマテリアルはすべてミクストメディアです。
作品の詳細をご覧下さい。



左壁面、左端、左から2番目の作品です。
左はタイトル「窓(和室 I ) 」でサイズ605×400mm、
右は「窓(和室 II ) 」でサイズ600×410mmです。

 


左壁面、左から3番目、4番目、右端の作品です。
左は「窓(ドア) 」で240×230mm、
中央は「窓(洗面所) 」で345×280mm、
右は「窓(ベランダ) 」で490×740mmです。



正面壁面、左端、右端の作品です。
左は「窓(台所 I) 」で860×1035mm、
右は「窓(台所 II)」で870×1047mmです。



右壁面、左端の作品です。
「Little Ome II」で2200×860×290mmです。



右壁面、中央の作品です。
「Little Ome 」で2230×1350×250mmです。



右壁面、右端の作品です。
「Little Ome III 」で2400×890×290mmです。

 



入口横壁面、左端、左から2番目、3番目、右端の作品です。
左から「寅」で135×195mm、「丑 」で130×187mm、「卯」で134×190mm、「子 」で130×185mmです。


〈作家コメント〉

日本では長く使われてきたものには魂が宿ると伝えられています。
人が存在していた部屋や使用されていた家具、そこに残る体温や匂い、
使い込まれたことによってできた傷や汚れなどの行動の痕跡は持ち主の個性や歴史を想起させます。


何やら古めかしいモノが並んでいます。
レリーフ状のモノは、幾つかは時計だったり蛍光灯だったりと判明しますが、全体像が掴めません。
それで作家の吉田さんに訊いてみると、それらは亡くなった祖母の使っていた生活用品と住んでいた部屋が作る風景であることが分かりました。
分かり難かったのは、風景が異なるイメージを重ねていたからです。
たとえば、正面壁面の「窓(台所 I) 」と「窓(台所 II) 」は台所の窓に襖の山水画を重ねています。
そして、台所にあるポットやヤカンのシルエットを画面から切り抜いています。
ダブルイメージとシルエットを活かした不思議な遠近感が、作品に重層性を生んでいます。
これは、ユニークで面白い発想、手法の展示です!

吉田さんは祖母と同居したことはないそうです。
時々祖母の家に遊びに行ったので、部屋の様子や生活用品の幾つかは見覚えがあるそうです。
感傷を覚えるほどは親しみが有るわけでもなく、しかし冷静に客観視できるほどではない。
その距離感と吉田さんの祖母に対する愛情がうまくブレンドされて、ほどよい温かさのある空間が生まれています。
見ているとつい微笑んでしまうような、古びたモノたちと生活の痕跡を残した部屋のスケッチです。

コメントにもあるように、日本人はモノに魂が宿ると考えます。
長く使っていれば、そこに持ち主の日常が映って、モノは人と不可分の存在になります。
部屋も同じで、空間には住民の日常が濃く染み込みます。
ですから、本展はある時代(具体的には昭和)のモノと生活空間の展示であると同時に吉田さんの祖母の生きた痕跡を表しています。
懐かしさと人の生活した跡が入り混じって、そこに得も言われぬ感慨が浮かんできます。
そしてその感慨は、吉田さん個人を超えてわたしたちの共感も呼び起こします。
展示が共有できる歴史となっているのはさすがで、発想を見事に視覚化しています。
オマケのような入口横壁面の干支の4点も、目を楽しませるセンスが光る作品です。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

 

会期

2022年7月25
日(月)ー8月6日(土)
日曜休廊
11:30ー19:00(最終日18:00)

会場案内