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藍 画 廊


草加登起夫展


上の小さな画像は草加さんが描いた雲です。
道路側ウィンドウに展示された作品の部分です。
雲、好きですねぇ。
何故だか分かりませんが、わたしは雲が好きです。
iGalleryで一番多い画像も雲です。


今日(2002/8/28)の雲です。
先程撮影してきました。

暑さがぶり返してきた、つまり残暑が厳しい今日この頃です。
雲もまだ夏雲ですが、盛夏の頃とは又違った表情です。

雲の形が動物に見えたり、人の顔に見えたりする時があります。
一旦そう思うと、それ以外には見えなくなってしまいます。

それが少しずつ変化し、流れていく様子を飽きることなく眺めた経験は誰にでもあると思います。

時間が雲の変化や移動とシンクロして、ゆっくり流れていくような感覚になります。


雲に関する個人的な感慨はさておいて(草加さん、失礼しました)、展覧会のご案内です。
入口から見て正面と右側の壁面の展示です。



左から、タイトル「雲ー(か)」で、49(H)×65(W)cm、
「無題」、49(H)×65(W)cm、
「無題」、27(H)×38(W)cmです。
展示作品のうち小品二点はキャンバスですが、後はすべて紙にパステルで描かれています。



左側の壁面です。
同じく左から、
「雲(い)」、49(H)×65(W)cm、
「雲(う)」、39(H)×55(W)cm、
「雲(え)」、38(H)×27(W)cm。


右側(事務所裏側)の壁面です。
「雲(あ)」で49(H)×65(W)cm。

タイトルの(あ)でお分りの通り、最初に描かれた雲の作品です。
一番写実的な作品で、意図的に写し取ることを試みた作品です。


何故雲を描くか、草加さんにお話を聞いてみました。
雲は遠くで見ているとしっかりとした形があります。
綿が空に浮いているように見えますね。
でも近づくと、霧のような粒子状のものです。

雲が図としたら、地は青い空です。
空に青い色が塗られているから、空が青いわけではありません。
当たり前です。
空も粒子のようなチリが光線に反射して人間には青く見えるようです。

雲の粒々(つぶつぶ)と空の粒々は入り交じって常に形を変えていきます。
その粒々の在り方、あるいは形の実存の有り様に作品のコンセプトがあるようです。

「無題」と題された作品は二点は、前回個展からのシリーズです。
白い紙や白いキャンバスは、「白紙」の状態です。
その白は紙やキャンバスの色ではなくて、観念的な白です。
何も描かれていない、これから描かれるのを待っている状態を現す白です。

絵具も紙、キャンバスも物質ですから、絵を描くことは物質と物質の接着とも言えます。
モノとモノがくっつく。
白紙に向かったとき、草加さんはそう思ってしまったわけです。
そうなると、何処から接着していいか分からなくなってしまいます。
(絵を描くではなくて、モノとモノの接着に行為が変化していますから。)

このような思考経路は雲の作品と共通しています。
そこにあるのは、視覚や形態、及び形態を分離する膜(まく)への関心と考察です。


キャンバスにパステルで描かれた小品です。
「からくり時計2」で、45(H)×38(W)cm。
人の立っている後ろ姿に見えます。

時計を見ている人だそうです。
彼は人形のパフォーマンスから次のパフォーマンスまでの間、豊かな期待と確かな(時)の中にいます。
その様子の意味がテーマなっています。


この他、芳名帳上の壁面にキャンバスの小品一点が展示されています。

ご高覧よろしく御願いいたします。


会期


2002年8月26日(月)-31日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内



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