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藍 画 廊


金沢健一 振動態展


金沢健一さんの個展の案内をさせていただくのは2000年に続いて二回目です。
前回は立体作品でしたが、今回は少し様相が違います。

展示風景です。



円と正方形の鉄板が二点、床置きされています。
奥が「振動態ー円 IV」で、9t×直径1500mm。
手前は「振動態ー正方形」で、9t×1500×1500mm。



撮影位置を反対側にしてみました。
厚さ9mmの鉄板の上に白い模様があります。
これは一体何なのでしょうか?

作品に近づいて見ると、白い粉が模様を作っているのが分かります。
白い粉は人造大理石の細い砂です。



画廊で作品を制作中の金沢健一さんです。
まず白い砂を均等に鉄板に撒きます。
それから手にした球(スーパーボールをピアノ線で刺したもの)で鉄板を擦ります。

そうすると鉄板が振動して砂が踊り、移動し始めます。
砂は鉄板の振動しない部分に集まり、鉄板上に模様ができます。
鉄板の振動しない部分は球の大きさや擦る場所、擦り方で違ってきますので、特定の場所というわけではありません。

逆にいえば、球の大きさ、擦る場所、擦り方を変えながら絵(模様)を即興で作っていきます。
模様は常に変化し、鉄板上で万華鏡や動画を観ているようです。
その時に「音」が出ます。
音、音響です。
この作品のもう一つの主題は、この「音」です。

鉄板の振動する音が、反響したり共鳴したりハウリングを起こしたりします。
原始と原子が衝突したかのような、身体に直接響く音を体験できます。
これは、身体で聴く「音楽」です。



金沢さんが、ある日、ある時、画廊で制作した絵(模様)です。
貴方が画廊を訪れた時には違う模様になっています。

円の鉄板を球で擦っていると、点を中心にしたシンメトリーの砂の模様ができます。
上は、無限にできる模様のパターンの一つです。



こちらは正方形の鉄板にできた模様です。
線対称ですね。
円と同様、無限にできる線対称の模様の一つです。

模様と模様ができあがる過程は何度観てもミステリアスです。
物理的な原理が何となく分かっていても、不思議です。
模様と音を体験していると、思いが宇宙や人間の始まりに飛んでいきます。
原始宗教の現場に立ち会ったような軽い興奮を覚えます。
シンプルで、しかも遠大な作品です。


何枚かの画像とテキストでご案内しましたが、お分りいただけたか自信がありません。
会期の後半(8月12日〜17日)は金沢さんが来廊しています。
随時制作パフォーマンスを行う予定です。
又、夕方6時からは様々なマテリアルも使用した制作パフォーマンスも行います。
現場で観ていただければ、わたしの拙い説明も不要かと思います。

今回は制作パフォーマンスを「iPhoto」でドキュメントしました。
こちらにも是非アクセスして下さい。

ご高覧よろしくお願いいたします。


会期


2002年8月5日(月)-17日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内



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