藍 画 廊




菊池まり子展

KIKUCHI Mariko

菊池まり子展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「Helpless」(キャンバス・アクリル)でサイズ116.7(H)×91(W)cm、「Helpless3」(キャンバス・西野内和紙・アクリル)で162×130.3、「Helpless2」(キャンバス・西野内和紙・アクリル)で116.7×91です。



正面の壁面です。
「眠る痛覚」(キャンバス・油彩)で194×130.3です。



右側の壁面です。
左から、「馬頭観音」(キャンバス・油彩)で116.7×91、「ラウドネス水郡線 1」(キャンバス・油彩)で116.7×91、「ラウドネス水郡線 2」(キャンバス・油彩)で116.7×91、「地蔵の森で」(キャンバス・油彩)で116.7×91です。



入口横の壁面です。
左から、「風の泣く日」、「眠る痛覚 2」、「旅の空 1」、「旅の空 2」、「旅の空 3」、「ホワイトアウト」、「イシャは何処だ」で、サイズはすべて22.7×15.8、キャンバスにアクリルを使用しています。

以上の15点が展示室の展示で、その他小展示室に1点の展示があります。



左壁面の「Helpless」です。
青い画面に緑がほんのりと重なっています。
Helplessはシリーズで3作並べられていますが、色合いの違いはあっても描画の方法は同じです。



中央の「Helpless3」。

この作品にはキャンバスの上に西野内和紙という紙が貼られていて、その上からアクリル絵具で描かれています。
西野内和紙は菊池さんがお住まいの茨城産の和紙です。



右端の「Helpless2」です。
この作品にも西野内和紙が使われています。
Helplessとは無力な状態を形容する言葉ですが、3作共どこか痛みのある画面です。



正面壁面の「眠る痛覚」です。
厚塗りの、ダイナミックで力の入った作品。



右壁面の「馬頭観音」です。
馬頭観音とは馬の守護神ですが、路上で見た馬頭観音が、この作品の中央の白いラインに似ていたため付けられたタイトルです。


右壁面、「ラウドネス水郡線 1」です。
光沢のある黒とマットのダークグレーが対称的な作品。
水郡線とは菊池さんの住む茨城のローカル線ですが、菊池さんはこれに乗るのが大嫌い。
ラウドネスは日本のメタルバンドですが、これを聴いて乗っていると、嫌な水郡線が相殺されることから付けられたタイトル。
面白いですね。




同じく右壁面の「ラウドネス水郡線 2」です。



入口横壁面の展示から4点ピックアップしてみました。
左上から時計回りに、「旅の空 1」「旅の空3」「イシャは何処だ」「ホワイトアウト」です。


〈作家コメント〉

長い空白を経てやっと手に取った油絵の具。
感覚に任せてキャンバスに叩きつけるうちに、この画面に辿り着いた。
完成させた作品を1歩引いて観た時に私は思う。「これは、痛覚だ…。」


菊池さんの絵画の多くはモノクロームに近い抽象画です。
モチーフも何もなく、感覚だけを頼りに画面と対話しながら制作していきます。
そして最後に到達したのが、痛覚という感覚。

痛みの感覚。
それは何の痛みでしょう。
わたしは、内面の痛みのように思えます。

元々、表現一般には痛みは重要な要素です。
何かしらの痛みがそこには表されています。
ムンクの「叫び」などは、その代表例です。

人が絵を描く時、意外にも、そこには確たる動機はありません。
描きたいから描く、描かずにはいられないから描く。
そこから出発して、徐々に本当の動機が輪郭を表してきます。
その逆ではありません。

菊池さんが到達した痛み。
それは描くという行為だけが獲得した感覚です。
一見単純に見える画面をよく見れば、その過程の感覚の試行錯誤が想像できます。
表現者にとって、心とはそれだけ複雑なものなのです。

ご高覧よろしくお願い致します。


 

会期

2012年10月8日(月)ー10月13日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内