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藍 画 廊


浅見貴子展


浅見(あざみ)貴子展の会場風景です。
画廊入口から見て正面の壁面の作品です。

サイズは138(H)×183(W)cm。
雲肌麻紙に墨、アクリルエマルジョンです。
日本画の技法、素材を浅見さん流に使っています。

描かれているのは木(樹)です。
柿の木。
浅見さんのご自宅の庭の柿の木です。

薄いベージュの麻紙に濃淡のついた墨。
清々しい画です。


左側壁面の作品。
サイズは89.5(H)×145.5(W)cm。
この作品には膠(にかわ)も使用されています。

同じく柿の木を描いたものです。
この写真では分かりにくいと思いますが、白く抜けたような感じで木の枝が描かれています。


作品は、写実的に描かれた樹木の上に、無数の楕円あるいは不定形の形が描かれています。
一見すると木の葉の様にもみえるのですが、葉ではありません。
濃淡に描かれたそれらの形は、実際に眼に見えるものというよりは、「気」の様なものです。
大気の「気」です。

浅見さんは、樹から枝が生えている様子が血管に見えるそうです。
作品タイトルの「脈」はそこからきています。
血管は「気」を吸収して外に送りだす循環活動をしています。
樹木の生命活動です。

その様と、浅見さんの関係が作品に良く現れていると思います。
浅見さんも、樹木のように生命活動をしているからです。
吸収して送りだす循環活動です。

右側壁面の作品です。
サイズは117(H)×91(W)cm。

これも柿の木ですが、季節柄梅の木に見えました。
「気」の様なものが空中に散乱している様子は、美しいですね。

本展の作品は全て紙の裏側から描かれています。
作品に近づいてみるとそれが良く分かります。
表から観ているのとは逆に、楕円(又は不定形の形)が最初に描かれ、その後に樹木が描かれています。

浅見さんは、今までもこの技法を部分的に使っていましたが、全面的に採用したのは今回が初めてです。
作品が重層的に見える、面白い効果を生んでいます。


樹木を写す、それは写生です。
浅見さんは日常接している庭の柿の木を見て、何を写そうとしたのでしょうか。
樹木を客観的、表層的に写す行為から離れて、眼に見えない樹木の動きに神経を集中させていたのかもしれません。
その動きを感じ、写すことに精力を傾けたのかもしれません。
感じる自分と樹木の関係に思いを馳せていたのかもしれません。
浅見さんにとっては、写す、つまり写生とはそういった行為の総体のような気がします。

作品は、芳名帳のある空間に小品が二点、道路側ウィンドウにも一点展示されています。
ご高覧よろしくお願いいたします。


会期

2002年2月25日(月)-3月9日(土)

日曜休廊

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内





「浅見貴子展」は同時期に柴田悦子画廊でも開催されました。
こちらに情報が載っていますので、ご覧いただければ幸いです。





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