藍 画 廊



高橋俊文展
TAKAHASHI Toshifumi

高橋俊文展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
タイトル「ほとり-53」で、サイズ130.3(H)×162.0(W)cmです。



正面の壁面です。
「ほとり-66」で130.3×162.0です。



右側の壁面です。
左から、「ほとり-52」、「ほとり-65」、「ほとり-69」で、サイズは3点共60.6×72.7です。



入口横の壁面です。
「ほとり-24」で91.0×116.7です。

以上の6点が展示室の展示で、その他小展示室に1点の展示があります。
作品はすべてキャンバスにアクリル絵具です。



左壁面の「ほとり-53」です。
下地に黒と青の混色を使い、上に黒を重ねた画面です。
(展示作品のうち、下地に青を混色したのが4点、黒のみの作品は2点。)
アクリル絵具にメディウムを混ぜ、刷毛で厚塗りした分厚い画面。
下の画像をご覧下さい。



下地に使用した青が少し見えますが、画面はほぼ黒一色です。
うねるような刷毛の跡が画面全体を覆っています。



正面壁面の「ほとり-66」です。
全体の成り立ちは「ほとり-53」と同じで、下地の青が若干見えるのも同様。



右壁面の「ほとり-52」です。
画面は小さくなっても同じ方法で描かれており、絵具の物質性を強く感じさせます。



右壁面を横から撮影したものです。
一番奥が上の「ほとり-52」で、中央が「ほとり-65」、手前が「ほとり-69」。
「ほとり-69」は下地に青を使用していません。



入口横壁面の「ほとり-24」です。



<作家コメント>
ほぼ黒の絵画。
ただ絵具を塗っていくこと。
絵画におけるノイズについて、その強さや方向性について考えています。
画面の内側でおさまってしまうノイズではなく、外側へあるいは前後に向かうように。



前回のカラフルな画面から一転して、ほぼ黒一色の画面。
ローリング・ストーンズの名曲ではありませんが、「Paint It, Black」ですね。

黒の絵画は珍しいものではありません。
常識を逸脱したような厚塗りや、アクション・ペインティングを彷彿させる絵具の痕跡。
絵具の物質性を強調したような造形、どれもこれも前例があって珍しいものではありません。

しかし、高橋さんの作品はどこかそれらとは違います。
「ほとり」。
ほとりとは畔でもあり、辺でもあります。
高橋さんは新潟在住であり、その画面は日本海の海面を思わせます。
これは畔ですね。
一方で辺境を表す、辺(ほとり)。
高橋さんは、高橋さんの絵画は、辺境にポツンと立っているような印象を強く与えます。

高橋さんの絵画は即興です。
何のモチーフもなく、ただ絵具を、高橋さんが適すると思われるような形で塗っていきます。
そこにはビジョンもイリュージョンも何もありません。
あるのは、ノイズについての思考だけです。

高橋さんは、自身の絵画について、「パフォーマンスの跡」と考えています。
喩えてみれば、即興の音楽やダンスの軌跡です。
それを絵画で試みている。
キーワードはノイズです。

ノイズとは雑音、騒音、耳障りな音のことです。
今世界は、ノイズを減らす方向に一直線で進んでいます。
フラットで心地良い世界に向かっています。
そこで失うものは何か?

その答えの一つが、高橋さんの絵画です。
辺境に立つ、異形の絵画です。
Paint It, Black!

ご高覧よろしくお願い致します。

2010年藍画廊個展

 

会期

2012年4月16日(月)ー4月21日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



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