青木恵美子展
ー沈黙の終わりにー
AOKI Emiko
青木恵美子展の展示風景です。
各壁面ごとの展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「沈黙の終わりに 2」でサイズ112(H)×162(W)cm、「沈黙の終わりに 4」で162×130です。
正面の壁面です。
「沈黙の終わりに 1」で81×232です。
右側の壁面です。
左から、「沈黙の終わりに 3」で112×162、「沈黙の終わりに 5」で92×73、「沈黙の終わりに 6」で73×92です。
入口横の壁面です。
左は「清らかに」で91×116です。
右の5点はPRESENCEシリーズで、No.4(10×10)、No.3(10×15)、No.6(10×10)、No.6(10×10)、No.6(65×55)です。
使用画材はアクリル、油彩、パステル、キャンバスで、PRESENCEシリーズのみアクリル絵具、油彩、アクリル板です。
以上の12点が展示室の展示で、その他小展示室に8点、事務室壁面に1点の展示があります。
鮮烈な赤系の色が画面の大半を占める展覧会です。
上は左壁面の「沈黙の終わりに 2」です。
オレンジ、朱色に近い赤で、下部には球(?)のようなものが描かれています。
その色の現れ方と躍動感が新鮮です。
同じく左壁面の「沈黙の終わりに 4」です。
こちらは縦の画面で、赤も深紅に近い赤です。
中途からの赤の変化が画面に動きを与えています。
下部中央の輝く白も印象的ですね。
青木さんの絵画は上部に赤系の色を配し、最下部に色彩豊かな球や模様のようなものを配する形式がほとんどですが、似ているようで皆違います。
その違いに、確かな作品コンセプトと技術を感じます。
正面壁面の2枚組の大作、「沈黙の終わりに 1」です。
赤の色彩と下部の見事な描写に圧倒されます。
赤の絵画のハイライト。
個人的にも最も好きな作品です。
右壁面の「沈黙の終わりに 3」です。
色調がほとんど同じように見える赤も、微妙に色合いに変化があります。
それにしても色彩が冴え渡っている作品です。
色を押さえていながら、色を引き出している。
その辺りの呼吸が何ともいえません。
入口横壁面の「清らかに」です。
この1点はタイトルも異なるように、上部に赤を使用していません。
上部は空を描いた様な薄いブルーですが、下部の色彩との対比、繋がりが、赤系の作品とは微妙に異なります。
展示のアクセントになっている作品。
同じく入口横壁面のPRESENCEシリーズです。
この作品は透明なアクリル板にアクリル絵具と油彩で縁を付けたものです。
PRESENCEとは存在といったような意味で、絵画の有り様を提示した作品です。
青木さんの絵画に対する考え方が表されていて、光や反射、映り込みなどの要素にそれを見ることが出来ます。
【制作について】
どこか不純な現実に対して、純粋無垢な世界が見てみたい。
それが私の制作の動機です。
頭の中にきらきらする<純粋無垢>は、肉体と感情の限界を超えたある種のカオスとして現れてきます。
そうしたカオスを根底ないし背景として、私の作品は他者や外部を取り込みつつ、常に変化しつづけるものであって欲しい。
豊穣かつ澄明な色の広がりに皆が<生命>を感じることで、日常の奥にあるイデアルな世界と向き合うきっかけが生まれたら、それはどんなに素敵なことかと思うのです。
青木さんが記した制作についての一文です。
青木さんの絵画は赤系の色をベースにしています。
赤が意味するものは何でしょうか。
血液、火、太陽・・・・・・。
青木さんの絵には、息づいているものがあります。
それは<生>や<生命>です。
赤という色と、それらは無関係ではないと思います。
しかしそれらは、ともすると赤という過剰な色に負けてしまうことがあります。
その強烈な色彩を御することは、案外に難しいものです。
青木さんの絵画。
生きている絵画。
呼吸している絵画。
青木さんの絵画には確たる形はありません。
やはり、色彩です。
画面の大半を占める赤と、下部の様々な色彩の輝き。
それが溶け合うように調和して、しかも動きを作り出しています。
その動きこそが、ある種のカオスなのかもしれません。
しかしても、この赤の絵画。
何と美しいのでしょうか。
繰り返すようですが、生きて、呼吸しています。
血液、火、太陽・・・・・・。
<生命>の絵画です。
ご高覧よろしくお願い致します。
会期
2012年4月9日(月)ー4月14日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)