藍 画 廊



青山大輔展
ー Objectー
AOYAMA Daisuke


青山大輔展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「緩衝・浅瀬にてI」で、サイズ145.5(H)×145.5(W)cm、「緩衝・浅瀬にてII」で145.5×145.5です。



正面の壁面です。
「object(増感作用)II」で112.0×145.5です。



右側の壁面です。
左から、「object(増感作用)I」で112.0×145.5、「object(増感作用)III」で112.0×145.5です。



入口横の壁面です。
「object」で130.3×97.0です。

以上の6点が展示室の展示で、その他小展示室に2点の小品と1点のドローイングが展示されています。
展示室の作品はすべてキャンバスに油彩です。



左壁面の「緩衝・浅瀬にてI」です。
三層からなる作品ですが、いずれもストライプが基調になっています。
ストライプは浅瀬を俯瞰したイメージから成っています。



同じく左壁面の「緩衝・浅瀬にてII」です。
イメージは浅瀬から借りてきていますが、具象絵画というわけではなく、抽象絵画です。



正面壁面の「object(増感作用)II」です。
画面が二分割されていて、窓のように見えます。
特にモチーフもなく描かれた、絵画です。



右壁面の「object(増感作用)I」です。
objectシリーズで、二分割は同じですが、描かれている部分やストライプが異なっています。




「object(増感作用)III」です。
今度は白い部分が黄色になり、描かれている部分の彩度が高まっています。
ストライプも放射状になっています。



入口横壁面の「object」です。
タイトルは「object」ですが、作品は右壁面の「緩衝・浅瀬にて」シリーズにも属しています。
「緩衝・浅瀬にて」シリーズは小さなドローイング(展示はしてありません)を基に、それを拡大、展開したものです。
その要素と「object」シリーズの要素が混じり合っています。



青山大輔展-object-は、大きく分けると二つのシリーズから構成されています。
「緩衝・浅瀬にて」シリーズの2点と「object(増感作用」シリーズの3点で、それを繋ぐのが「object」という作品です。
「緩衝・浅瀬にて」シリーズの滲みるような美しさと、層の重なりの面白さは印象的です。
見ていて飽きない深さを持った作品です。
一方で「object」シリーズは多少難解なイメージを持つかもしれません。
しかしそれが、ある意味で青山さんの意図のような気がします。

絵と絵画。
同じ意味で用いる場合もありますが、ニュアンスは多少違いますね。
絵は物事や情景を、色・線・形などによって、平面上に写し表したもの。
あるいは、ある情趣を感じさせるありさま、光景などの意があります。

絵画は絵と同じような意味と同時に、造形芸術という側面の意味を強く持っています。
造形芸術とは、実在する物質を媒介として空間的形象を表し、人間の視覚に訴えることを目的とする芸術です。
辞書からの引用ですが、何やら分かったような分からないような説明ですね。

前述したように、青山さんの作品は抽象絵画です。
そして、絵ではありません。
ではなんであるかといえば、絵画そのものです。
絵画とは何かという問いを含んだ、メタ絵画です。

絵画に限らず、表現は形式と構造で成り立っています。
青山さんがテーマにしているのは、(多分)後者の構造です。
絵画が含んでいる構造です。
それを真摯に追求している。

絵画の構造は、線と形と色の組み合わせでできています。
その組み合わせを厳密に追求することによって、絵画の秘密に迫ろうとする。
それが青山さんの仕事であり、作品=絵画です。
それを踏まえた上で見れば、作品は、多層的で興味深い営みに映ります。
(絵画の)常識というバリアーの向こう側には、無限の可能性が広がっています。
青山さんの絵画は、その可能性の一つだと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。


会期

2011年2月7日(月)-2月12日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内