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藍 画 廊


平久弥絵画展


平久弥絵画展の会場風景です。
六点の絵画作品で構成されています。
アクリル絵具を使用してキャンバスに描かれています(一点のみボード)。



下は画廊入口から見て左側壁面の作品(73×117cm)。
展覧会タイトルでお分りのように、これは写真ではなく絵画です。
それにしてもリアルですね。


簡単に技法的な説明をします。
撮影した写真をプロジェクターで投影し、それをトレースした後、エアブラシと筆で描きます。
近づいて見ると絵画であることがハッキリと分かりますが、引いて見ると写真的リアリティに 眼を奪われてしまいます。
不思議です。
もし写真の存在を知らなければ、それは限りなくリアルな絵画として観賞されるのかもしれません。
写真というメディアを既知としているわたし達は、頭の中でこの絵画に写真の存在を見てしまうのです。
上はニューヨークのクィーンズの風景です。
余談ですが、撮影当時は存在していたWTCが左側にあります。



この作品(75×146cm)は入口正面に展示されています
今回の作品は、平さんの前回藍画廊の個展(1997年)と基本的なスタンスに変わりはないものの、微妙な変化が見られます。
エアブラシを点描画的な使い方をしている、という技法的な変化の内側には平さん自身の風景に対する認識の変化がありそうです。
以前の過剰なシャープさが影を潜め、その場所に漂う空間(空気)を重視しているように見えます。


この作品(36.4×51.5cm)は入口右側の壁面です。
平さんの作品には珍しく人物が描かれています。
視点の角度も他の作品と違います。
どこか、映画のワンシーンのようですね。


小品二点です。
事務所裏側の壁面です。
サイズは、左が22×27.4cm、右は38×31.8cm。
(道路側ウィンドウにも小品が一点展示されています。)


本展の作品の風景は、全てアメリカの各地の風景です。
日本でもない、ヨーロッパでもない、アメリカの風景です。
アメリカは歴史の浅い国です。
つい最近まで先住民族が馬を駆っていた荒野に、書割りのように建物や道路や車が存在しています。
独特の乾いた空気とともに、その風景の奥行きのなさが、ある種アメリカの魅力です。

さきほど映画という言葉を記しました。
わたしが、これらのなにげない、日常的な風景に馴染みがあるのは映画の所為です。
アメリカの風景とは、写真ではなく映画によって人々の眼に強く記憶されます。
フィクショナルな映画の記憶が、実際の風景を見たとき無意識に過(よぎ)ります。
「あの映画の風景とおんなじだ!」。
それは、絵画に写真を見てしまう意識とどこか共通するものかもしれません。
わたしは、平さんの絵画を観ながらそんなことを考えました。
(平さんが制作時に映画の事を意識していたかどうか、それは又別の話になると思います。)

平さんのHPにも本展のご案内があります。
各作品に対する作家のコメントも掲載されています。
併せてご覧いただければ幸いです。

ご高覧よろしくお願いいたします。


会期


2001年10月29日(月)-11月3日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内



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