藍 画 廊



ラストダンスは私に/伊藤知宏展
ITO Chihiro


京橋藍画廊の最後の展覧会は「京橋3-3-8」でした。
「京橋3-3-8」が終了したのが12月24日で、明けた25日から、一人の作家が泊まり込みで制作を始めました。
もちろんこれは非公式の制作、展示で、藍画廊の記録には残りません。
制作は27日の夕方まで続き、藍画廊の引越荷物の積み込みが終わった頃、作品も完成しました。



道路側入口から見た展示風景です。
正面に大きく花が描かれています。
花の茎(?)は左側の画廊入口方向に伸びていて、手前の壁面に繋がっています。



繋がっている壁面にも、花が描かれています。
ダイナミックな茎というかラインは、天井や床にも延びています。
それは道路側ウィンドウにも廻っていて、小さな花を咲かせています。
(「京橋3-3-8」でも、この場所に小さな花が咲いていました。)



ここで一幅の壁画は終わっています。
京橋の最後を花で葬送するという作家の試みは、実を結びました。
これで京橋藍画廊は成仏し、来年三月、銀座藍画廊として又芽を吹かせるでしょう。

二泊三日のライブペインティング。
建物も取り壊しということで、もっとハチャメチャな展開を想像しましたが、意外に静かな作品となりました。
しかし作品には作家の熱い思いが込められていて、大胆でありながら丁寧なタッチの描画です。
通常ではメインの壁面となる(画廊入口から見て)正面の壁面をあえて空けて、道路側からの眺めで統一されています。
壁に直接のペインティングと、左右天地に曲がりくねった空間構成は、大きな流れを作っています。
多様で賑わった「京橋3-3-8」とは違った意味で、最後に相応しい展示かもしれません。

わたしはこの作品を勝手に「ラストダンスは私に」と名付けました。
そしてラストダンスを踊ったのは、伊藤知宏さんです。



作品完成後の記念撮影です。
伊藤さん、お疲れ様でした。